ロックディスタウン バク宙失敗! 狂気の血はしっかりと受け継ぐ

ロックディスタウン

NHKマイルカップ(GⅠ)のパドックで起こった珍騒動

先日(2018年5月6日)、東京競馬場で開催された”3歳馬のマイル王決定戦”の第23回NHKマイルカップは、藤岡佑介騎手鞍上のケイアイノーテックが勝利をおさめましたが、藤岡騎手はデビュー14年目にしてうれしいGⅠ初勝利となりました。

今回藤岡騎手は、別のレースでの斜行により騎乗停止となっていた武豊騎手の代打として回ってきた絶好のチャンスでしたが、見事にこの機会を活かした勝利であり、競馬ファンにとっても微笑ましいニュースとなりました。

しかし実はこのレースが行われる数十分前にはパドックでちょっとした騒動があったことはご存知でしょうが?

それがタイトルにもあるように、出走予定馬による”バク宙”事件なのですが、GⅠという大きな舞台で”やらかした”のが、あの有名なクセ馬の系統だったということで、僕の中で非常に盛り上がりを見せています。

(画像引用:サンデーサラブレッドクラブより)

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”オルフェーヴルの一番娘”ロックディスタウン

今回GⅠであるNHKマイルカップのパドックでバク宙を試みたのはロックディスタウン(美浦 藤沢和雄きゅう舎所属)という三歳牝馬なのですが、僕も長年競馬を見てきて馬が宙返りを試みるというのは初めて見ましたね。

実際は何かに驚いたか気にくわないことがあったのでしょうが、それが有力馬が揃うGⅠレースのパドックというのは前代未聞ですし、それをしたのが昨年の”二歳女王決定戦”阪神ジュベナイルフィリーズで一番人気に推されていたロックディスタウンだったことは驚きでした。

ロックディスタウンという馬は、あの名馬オルフェーヴルの産駒の中で一番最初に重賞レース(新潟2歳ステークス)を勝った文字どおりの”一番娘”であり、今後”種牡馬オルフェーヴル”伝説の歴史に間違いなく刻まれる馬でもありますが、

なんだこの馬は?

と思った反面、多くの競馬ファンは僕と同様おそらく

さすがオルフェーヴルの娘

と思ったことも多いでしょう(笑)。

実際の転倒シーン

今回の”バク宙未遂”はジョッキーが乗っていなかったのが不幸中の幸いでした(YouTubeなんかを見ていると乗って宙返りしている馬なんかもいます)が、競馬メディアでの間では転倒後馬体チェックをせずに出走したことに批判が出ているようです。

公平を期することに絶対的重きを置いているJRA(日本中央競馬会)だけに出走取消をしてもよかった(あまり競馬に詳しくない方のために説明しておくと馬が発熱したり、放馬して疲れた場合などは出走しなくてもかまいません)ような気がしますが、レース後も特段故障など変わったこともなかったのは幸いでした。(ただ結果は気性難をレース中に出してぶっちぎりの最下位)

僕のように仕事などが理由でリアルタイムでパドックを見れない方も多いでしょうし、今回の出来事は単純に笑えるニュースですが、実際にこの馬絡みの馬券を勝っていた方には本当に笑えないニュースだったことでしょう。(ただ、コアな競馬ファンならこの馬が何かやらかすかもしれないということは十分予想できました)

サンデーサイレンス系”最狂”の血脈

さて、このロックディスタウンの父であるオルフェーヴルという馬が、相当に強く、そして相当にクセの強い馬であるということは、最近のファンでもご存知でしょうが、実はこのクセの強さはこの娘と父だけのものではありません。

実はさかのぼるとこの系統にはエピソードが満載です。

数世代前からの”狂気の血”の伝統ということで、今回は血統について少しだけ詳しい僕が軽くエピソードなどを紹介したいと思います。

オルフェーヴル

父:ステイゴールド 娘:ロックディスタウン

騎手を振り落とすのは当たり前、逸走からのゴール前強襲

オルフェーヴルは現役時代クラッシック三冠を制するだけでなく、海外遠征をして凱旋門賞で二連連続二着にくるなど世界的に見ても名馬の一頭ですが、そのクセの強いエピソードには事欠きません。

例えば新馬戦を勝利した後、主戦の池添騎手を振り落としているだけでなく、三冠レース最後の一冠となった菊花賞を勝利した後も”お前いつまで乗ってんねん”と思ったのか、見事三冠ジョッキーとなった池添騎手を再び振り落としています。

他にもパドックで寂しくなったのか、いなないてみたりなど様々なエピソードがありますが、彼の中で一番有名なのは阪神大賞典での逸走です。

これは有名なレースでご存知の方も多いでしょうが、三コーナーで抜群の手ごたえで走る中、突然コーナーを曲がらずに外に向かって逸走したあと、再びレースに復帰してあわやの二着にきたというとんでもないレースです。

これが下級条件のレースではなく、天皇賞・春に向けての重要なレースであり出走馬のレベルも高かった阪神大賞典で起こったということは当時としてもかなりの衝撃でした。

オルフェーヴルの能力の高さはすでに誰もが認めるところではあったものの、この馬の強さとクセの強さをまざまざと見せつけられるレースであり、気性も大人しく優等生のイメージの強かったディープインパクトの数年後に現れたやんちゃな暴君の登場に、たくさんの人がこの馬のファンになったことでしょう。

実際のところ僕もディープインパクトよりオルフェーヴル派です。

ステイゴールド

父:サンデーサイレンス 近親:サッカーボーイ 他の産駒:ゴールドシップ

善戦マンとして有名も暴れん坊エピソード満載

オルフェーヴルのとんでもないレースが衝撃的過ぎて、その父であるステイゴールドは最近のファンには文字通り”オルフェーヴルの父”であり、競馬ブームの時に少し競馬をかじったことがある人であればGⅠを勝ちきれなかった”善戦マン”というイメージが浸透していると思います。

ただ彼の”狂いっぷり”も中々です(笑)。

最初に世間にその名を知らしめたのがデビュー三戦目の未勝利戦なのですが、このレースはステイゴールドのほとんどのレースで主戦をつとめることになる熊沢騎手が初めて乗って出走したレースでした。

ステイゴールドは、いきなり産駒がセンセーショナルな活躍をし始めたサンデーサイレンス産駒ということや、近親に種牡馬として活躍していたサッカーボーイもいるという良血馬ということでこのレースは1.9倍という断然人気でしたが、抜群の手ごたえで四コーナーまで進んだ後、このステイゴールドはコーナーを曲がりません(笑)。

そのまま熊沢騎手は落馬してしまい競走中止になってしまいます。

ステイゴールドは気にくわないことがあれば立ち上がるのはあたり前、厩舎でも来た人間を威嚇したり襲い掛かろうとするなどその性格は”肉食獣”と言われるほどきつかったそうです。

最終的にこの馬は海外でGⅠを1勝するだけに終わりましたが、性格さえまともならGⅠをもっと勝っていただろうと思った方も多いでしょう。

サンデーサイレンス

競走中に隣の馬を噛みつきに行く

今や日本が誇る大種牡馬であり世界の競馬の勢力図さえ変えてしまいそうなサンデーサイレンスですが、この馬も気性が難しい馬として有名でしたね。

例えばアメリカの超有名ジョッキーであったシューメーカー騎手が調教に乗った際、調教師に向かって”こんな(性格の)壊れた馬に乗せないでくれ”という逸話もあり、結局乗ってもらえなかったそうです。

また、調教師もサンデーサイレンス自身に後ろ脚でこめかみを蹴られてヒヤリとしたこともあるそうで、当然厩舎関係者の被害者は多数いたそうです。

またサンデーサイレンスの闘争心を現すエピソードとして一番有名なのは彼の最大のライバルであったイージーゴア(父アリダー)とのお話です。

当時のアメリカの人気馬アリダーの子であるイージーゴアと雑草血統のサンデーサイレンスはアメリカ三歳クラシックで人気を二分して争いますが、問題のレースはクラシックレース第二戦プリークネスステークスの伝説のレースです。

600m近くに及ぶマッチレースの上ゴール前でサンデーサイレンスはライバルのイージーゴアに噛みつきに行くほどの闘争心を見せたと言われており(実際の映像では噛むことは確認できません)、その勝負に対する貪欲と気の強さが分かります。

まとめ

このようにロックディスタウンは曾祖父の代から脈々と続く”狂気の血”を再現したわけですが、以上の馬の他にも祖父ステイゴールドの近親であるサッカーボーイもかなり気性的にキツイ馬だったことはよく知られた話ですし、サンデーサイレンスの父Halo(ヘイロー)は厩務員を噛み殺したと言われている馬です。

行儀のイイ馬が最近多くなってはきましたが、こうした個性派たちの動向も目が離せませんね。

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