最終世代は2016年生まれの一頭のみも産駒は絶好調
上のランキングをご覧ください。
これは2019年6月11日現在の中央競馬の種牡馬ランキングなのですが、相変わらず1位はディープインパクトが独走しているものの、二位はなんと驚くべきことにステイゴールドが二番手グループを少し抜け出す形で追走しています。
何が”驚くべきこと”なのか、それはこのステイゴールドがすでに亡くなってから四年経っているということです。
ステイゴールドは2015年の2月に残念ながら21歳で亡くなってしまったのですが、亡くなる最後の年に種付けた数少ない中から、2016年に誕生したのは牝馬一頭のみでした。
つまり今年クラシックを走った世代は一頭しかいなかったというわけなので、前半戦で賞金の稼ぎやすい三歳世代の賞金がほぼゼロという中でこの結果は”驚くべき”ことになるわけです。
出走頭数の欄を見ていただくと分かるようにマンハッタンカフェ(2015年の8月に死亡も三歳世代は結構います)に次いで少ない135頭しか走っていない中でのこの数字です。
これからステイゴールド産駒を見る機会はどんどん減っていくことにはなりますが、現役時代、種牡馬時代と様々な伝説を残した彼にとっては最終章とも言える一年になりますので、今回は最後にどんなステイゴールド産駒が残っているのか、はたしてオルフェーヴルやゴールドシップ、ドリームジャーニークラスの馬がいるのか特集してみたいと思います。
Contents
ステイゴールドのこれまで種牡馬成績
2002年に現役を引退して種牡馬生活をスタートしています。当然産駒が生まれるのは一年後ですので2003年産が第一世代になり、その産駒が競走馬としてデビューしたのが2005年が最初になります。
つまり今年が産駒がデビューしてから14年目になります。
そして前述のとおり2016年に産まれた牝馬一頭が最終世代になります。
(画像引用:社台スタリオンステーションより)
これまでの最高は三位 当たりはずれが大きい
2005年に産駒が競走馬デビューしたステイゴールドですが、二歳世代しかいない一年目の121位は仕方ないにしても2010年まで六年間は少しづつ順位は上げながらですがしばらくは二桁順位でした。
産駒がデビューすると、走ることが分かり種付けされる牝馬の質が上がったせいもあり2011年以降は一けた順位の常連になります。
オルフェーヴルやゴールドシップという超大物が登場しますが、それでも種牡馬ランキングの最高は2012年と2017年の三位が最高となっており、トップ5をウロウロしていた種牡馬ですね。
オルフェーヴルとゴールドシップが現役だった2011年から2013年ですら四位、三位、六位という順位だったんですが、理由は超大物が出るものの走らない馬も出るという”当たりはずれがはっきりでる”種牡馬だったというのが最大の理由となります。
ちなみにデビューした産駒のうち何頭が勝ち上がったかを示す勝ち馬率という指標があるのですが、ディープインパクトが六割三分、キングカメハメハが四割九分、ハーツクライやダイワメジャーが四割五分前後なのに対して三割六分という数字は、このクラスの種牡馬にしてはかなり低い数字でした。
ただステイゴールドの特徴は走る産駒がとことん走ることであり、一頭あたりの競走馬が最終的にどれぐらい稼いだかを示す偏差値であるアーニングインデックス(EI:1が平均値)だと1.6程度になり、ディープインパクトの2.7やキングカメハメハの1.9は別格にしても、同じぐらいの種付け料や順位であるハーツクライ、ダイワメジャーの1.4前後というのを上回る数字になっています。
勝ち馬率を考えるといかに走った馬が稼いだかよく分かると思います。
史上五頭目のJRA重賞100勝を達成
大物が多い印象のあるステイゴールド産駒ですが、それを証明するべく今年(2019年)のウインブライトの中山記念(GⅡ)の勝利により、JRAの重賞勝利通算100勝を達成しています。
これまで種牡馬として100勝を達成しているのはサンデーサイレンスが311勝(スゴイ!!)、ディープインパクトが約200勝(これからまた増えていくと思うので約にします)、戦後初の三冠馬シンザンの父ヒンドスタンが113勝、キングカメハメハが約110勝と、これらのビッグネームに続く素晴らしい成績を残していることが分かります。
社台ファーム以外で供用されて実績を残した奇跡の種牡馬
ステイゴールドが様々な方面から賞賛される点はオルフェーヴルなどの大物を出したという点もありますが、忘れていけないのは、この馬が社台ファーム系(社台スタリオンステーション)以外で繁殖生活を送っていた点です。
元々社台系の白老ファーム出身のステイゴールドでしたが、GⅠは一勝のみで同時期に同じサンデーサイレンス(SS)産駒のアグネスタキオンが種牡馬入りし、すでに社台には同じくSS産駒のスペシャルウィークやフジキセキ、ダンスインザダークなどの素晴らしい競走実績の馬がいたので入れてもらうことができません。
結局ブリーダーズスタリオンステーションとビッグレッドファームで(二年ごとに)供用されることになります。
当然繁殖牝馬の質ではノーザンファームなど社台系の馬達に敵うはずもなかったのですが、そんな中から数々の重賞の勝ち馬を送り出し、故郷である社台系の繁殖牝馬への種付けを増やしていった経緯がある種牡馬です。
最近は社台系というよりノーザンファームの馬が大活躍していますが、活躍馬一覧で見ても社台系の馬が比較的少ない珍しい種牡馬でしたね。
2019年期待のステイゴールド産駒たち
現在中央登録されているステイゴールド産駒の競走馬は127頭いるようですが、実際は抹消されずに名前だけ残っている馬も七頭程度いるので正味の数字は120頭程度残っているようです。
この中から秋に覚えておくと面白そうな馬をピックアップしたいと思います。
ハルノナゴリ
2016年産の牝馬です。母の父はキングカメハメハです。
この馬がステイゴールド産駒にとって文字通り最後の子供になり、2016年産の唯一の馬になります。
2016年6月11日現在二戦未勝利ですが、伯父(母の兄)にサダムパテック(マイルCS勝ち、父はフジキセキ)、叔母(母の妹)にジュールポレール(ヴィクトリアマイル勝ち、父はディープインパクト)がおり良血馬です。
父ステイゴールドと同じ社台コーポレーション白老ファーム出身になります。
インディチャンプ
2015年産の牡馬ですが、先日の安田記念を制し、一気にGⅠホースの仲間入りをしました。
牡馬では最終世代なる2015年産ですが、JRAで中央登録されている2015年産のステイゴールド産駒も残り三十三頭なので、最後に超大物が出るかという点でもこの馬の今後には注目ですね。
現在マイルを中心に走って10戦6勝。
すべて四着以内に入っており、マイルから2000mあたりを中心に出てくるでしょう。
ステイゴールド産駒の牡馬は大体が中距離から長距離を得意とするのですが、マイルGⅠを勝利するほどのスピードがあり、かなりの力を持っている可能性があります。
そう言えば、この馬も母の父はキングカメハメハです。
アフリカンゴールド
2015年産の牡馬で母の父はGone West(ゴーンウエスト)。
現在は3勝クラス(旧1600万円以下)の同馬ですが昨年の菊花賞は良血ということもあり九番人気と穴人気していました(結果は十二着)。
重賞では壁にぶつかっていますが、最近は自己条件に出走して好走しているので秋にはオープン入りしているでしょう。
兄はドバイワールドカップを制したアフリカンストーリー(父Pivotal)で馬主はドバイの王族が管理する世界的グループのゴドルフィンです。
個人的には引退までに重賞のひとつぐらいは勝つだろうなと思っています。
エタリオウ
この馬も2015年産になりますが、天皇賞春でも一番人気になったように恐らく能力的には大将格になります。
これまで11戦してなんと1勝。
しかしながら菊花賞二着を含めて重賞(GⅠとGⅡ)で四回の二着に入りこれまで馬券圏内に入れなかったのは日本ダービーと天皇賞春と新馬戦のそれぞれ四着の時だけと、大崩れしたことがありません。
戦績はお父さんのステイゴールドそっくりですね。
M・デムーロ騎手によると”ワンペースの馬”という表現をしており、ペースの変化にはなかなか対応できないようなのでハイペースになりそうなレースに出てくるようだと面白いかもしれませんね。
母の父はCactus Ridge(カクタスリッジ)です。
こういう馬は馬券的には買いやすくていいですね。永遠の二着三着タイプだと思います。
ステイフーリッシュ
2015年産の牡馬ですが、この馬も11戦して二勝(うち一勝は重賞の京都新聞杯)しかしていません。
重賞戦線では馬券圏内には入っているのですがGⅠでは大敗しており、エタリオウの劣化版ぐらいに捉えておくと馬券は買いやすいと思いますね。
こういうタイプはGⅠでは全くいらないタイプで相手が弱くなると途端に活躍するタイプだと思います。
母の父はキングカメハメハ。
クラブ馬(社台レースホース)なので今後も長く走って賞金を稼ぐ馬だと思うので、見る機会は多いと思いますね。
バレリオ
2015年産で父と同じ社台コーポレーション白老ファーム出身です。
体質が弱く現在まで四戦しかしていませんがすでに三勝をあげており、前走昇級戦も楽勝でした。
秋になりもうちょっと体がしっかりしてくればかなり期待できそうな一頭です。
母の父はクロフネ。
マイネルファンロン
2015年産。名前から分かるようにマイネル(共同馬主クラブ)の馬ですね。
成績は安定しませんが昨年のスプリングSで三着に入った馬だったので、その後勝つようなら成長してくるのかな?と思っていたらオープンまで上がってきました。
お母さんも重賞を勝っているのでどこかで穴をあけそうな気のする馬ですね。
おそらく時計勝負には弱いと思うのでローカルや中山競馬場あたりで狙いたいところですね。
母の父はロージズインメイで母の母の父はブライアンズタイムということなので、パワーはありそうです。
ウインブライト
2014年、コスモヴューファームの生産。
先日香港で行われたクイーンエリザベス2世カップ(GⅠ)を制しました。リスグラシュー、ディアドラも出ていたレースなのでかなりレベルが高い相手に勝ったと思います。
現在あげている八勝のうち五勝が中山競馬場と、完全に時計がかかる馬場向きの馬ですね。
力は間違いなくあるんですが、時計が速くなりそうなレースに出てくると切ってこそうま味のある馬でしょう。
母の父はアドマイヤコジーンなので中山競馬場で凡走し始めると怪しくなってきますね。
調子のいい時は狙ってもいいとは思いますが、落ちた時の見極めは肝心だと思います。
2014年産は35頭ぐらい残っていますね。
カリビアンゴールド
2014年産の牝馬。
現在は3勝クラスなんですが、三歳の時はオークスや秋華賞などにも出ていたのできゅう舎は期待していそうな気がします。
3勝クラスでも悪くないレース内容なので格上挑戦してきたときなんかは面白い感じはしますね。
取り立てて切れ味や決め手はなさそうなんですが母の父はダンジグ系のCape Cross(ケープクロス)などスピードの下地はあるので、こういうのは小回りコースで面白そうです。
スティッフェリオ
2014年社台ファーム産。母の父はMtoto(ムトト)。
昨年の札幌記念の頃は注目してたんですが、五着に終わり微妙かなと思っていたらいつの間にか重賞を二勝していました。
母系はヨーロッパ型で重そうなので、時計がかかる馬場でこその馬でしょうね。
この馬も完全にGⅢ向きの馬だと思いますね。
ソーグリッタリング
2014年産でスティッフェリオと同い年になりますが、スティッフェリオやステイフーリッシュがGⅠでは完全に足りない感じなのに対して、まだ未知数な部分を感じさせる馬ですね。
先日のエプソムカップでは32秒台前半という超高速上りのレースで三着に踏ん張りましたし、さらに上のレースでも通用するかもしれませんね。
ステイゴールド産駒の中では珍しい母の父シンボリクリスエス(オジュウチョウサンと同じ)なのでその部分でも注目しています。
リナーテ
2014年産の牝馬で、あのサトノダイヤモンドの妹になります。
四歳になるまではぱっとせず一勝しかあげられませんでしたが、ステイゴールドらしい成長力を見せオープン入り。
今年にはいり重賞で二戦連続二着と期待が高まります。
ステイゴールドには珍しいスプリント戦に対応できるスピードが魅力です。
母の父はダンジグ系のスプリンターOrpen(オーペン)です。
オジュウチョウサン
最後は2011年産で今年8歳のオジュウチョウサンです。
母の父はシンボリクリスエスで前述のソーグリッタリングと同じなのですが、この気性難の代表格の二頭の配合でしっかり成績を残しているのは面白いですね。
昨年の有馬記念の出走時も取り上げましたが、その後障害レースに戻り二連勝。
再び平地レースの出走なども噂されていますが、障害レースだとオッズが低すぎていつも切りたくなる馬ですね(笑)。
ただレースに出走するたびに疲れが残っているようなのでそろそろ年の影響が出始めているのかもしれません。