カレンブラックヒルが種牡馬としてひっそりブレイクの気配

カレンブラックヒル

ノーマークから一転ダイワメジャーの有力後継種牡馬に

競馬の世界ではレースとともに重要なのがサラブレッドの生産です。

毎週、日本どころか世界中で行われているレースも、結局のところいい種馬や繁殖牝馬を見つけるために行われているという側面もあることは、競馬ファンなら十分ご存知のことでしょう。

“あのスーパーホースが種牡馬になってどういう子供を出すのか?”とか、”現役時代に牡馬を圧倒していたあの牝馬の子供があまり活躍しないのはなぜだろう?”といった議論などを仲間内でしたりするのも競馬の醍醐味のひとつとも言えます。

長年競馬をやってくると、今年はどんな新種牡馬の産駒(子供)が出てきて、どいういった活躍をするのかもやはり楽しみですね。

そして昨年(2019年)は、キズナ(父ディープインパクト)やエピファネイア(父シンボリクリスエス)といったGⅠホースの産駒がデビューしてきたのですが、良くも悪くも予想通りの活躍を見せたのは記憶に新しいところですね。

キズナはエピファネイアほどの繁殖牝馬は集まりませんでしたが、勝ち馬率はそれほど良くなかったもののいきなり重賞馬を出し、今年に入ってもすでに重賞で三勝しています。(2020年5月5日現在)

一年目は一世代だけながら総合ランキングで37位という好成績でした。

次いで活躍したのがエピファネイアでしたが、昨年は48位と繁殖牝馬の質を考えれば若干スタートダッシュに失敗した感がありました。

ところが今年の桜花賞ではデアリングダクトが勝利し、すでにGⅠホースの父となっています。

この二頭は元々業界第一位である社台スタリオンステーションで繋養されているのである程度成功は約束されたものだったのですが、しかしながらここに来て、この二頭の裏で実はひっそりと活躍している種牡馬がいます。

それが今回取り上げるカレンブラックヒル(父ダイワメジャー)となります。

カレンブラックヒルと言えばキズナやエピファネイアのひとつ上の世代ですが、NHKマイルカップ(GⅠ)は勝ってはいるものの、古馬になってからは掲示板がやっとの馬でした。

成績面だけでなく、血統面においても近親馬に物凄い馬たちが並ぶキズナやエピファネイアに比べると少し地味なカレンブラックヒルでsyが、現在どんな活躍を見せているのか、主要メディアではあまり話題にならないので種牡馬マニア(笑)の僕が紹介したいと思います。

(画像引用:「株式会社優駿(優駿スタリオンステーション)」公式サイトより)

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現役(競走馬)時代

2009年ノーザンファーム産のサラブレッド。

栗東・平田修きゅう舎所属

同期にはゴールドシップ(皐月賞、菊花賞などGⅠ五勝)、ディープブリランテ(日本ダービー)、ジェンティルドンナ(牝馬三冠などGⅠ七勝)、ヴィルシーナ(ヴィクトリアマイルCを二勝)、フェノーメノ(天皇賞春を二勝)などがいます。

一つ上にはオルフェーヴル、一つ下にはキズナ、エピファネイアがいる世代となります。

競走成績

通算:22戦7勝(7-0-0-15) 総獲得賞金:3億3284万円

主な勝ち鞍:NHKマイルカップ(GⅠ)、毎日王冠(GⅡ)、ニュージーランドトロフィー(GⅡ)、ダービー卿チャレンジトロフィー(GⅢ)、小倉大賞典(GⅢ)

カレンブラックヒルの成績で面白いのは7勝しながらも二着や三着に一度も入っていない点です。

それこそ勝つ時はあっさり勝つものの、負けるときはしっかり負けるという馬で馬券的には比較的買いやすい馬でしたね。

また成績は古馬になってからは重賞を2勝しているので不振とは言わないものの、ピークは三歳の春でした。

古馬になってからは結局16戦して2勝。掲示板に載ったのも四着が1回、五着が1回といった有様で、NHKマイルCの勝ちがなければ完全に種牡馬入りするタイプの成績ではなかったですね。

ノーザンファーム産ですが社台SSには入れてもらえず優駿スタリオンステーションで種牡馬入りしています。

カレンブラックヒルの血統

ダイワメジャー
2001 栗毛

父の父

*サンデーサイレンス
Sunday Silence
1986 青鹿毛

Halo Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well Understanding
Mountain Flower
父の母

スカーレットブーケ
1988 栗毛

*ノーザンテースト Northern Dancer
Lady Victoria
*スカーレットインク Crimson Satan
Consentida

*チャールストンハーバー
Charleston Harbor
1998 鹿毛

母の父

Grindstone
1993 黒鹿毛

Unbridled Fappiano
Gana Facil
Buzz My Bell Drone
Chateaupavia
母の母

Penny’s Valentine
1989 栗毛

Storm Cat Storm Bird
Terlingua
Mrs. Penny Great Nephew
Tananarive

父は長年トップ5級の種牡馬として安定した活躍を送り出しているダイワメジャーですが、母系は祖母の従姉妹に英1000ギニー馬でGⅠ3勝のハトゥーフがいるものの、名門ノーザンファームにおいては平均的な牝系と言えます。

近親の活躍馬では半弟のレッドアルヴィス(父ゴールドアリュール)がユニコーンS(GⅢ)を勝っているぐらいになので、カレンブラックヒルが出ていなければ恐らく目に留まらないような感じがします。

全体的にはアメリカのスピード配合という感じになっていますが、アメリカのトレンド的には主流血統で占められています。

この配合だけを見ると現役時代にGⅠを勝たないと種牡馬入りはまずなかったでしょうね。

さて、こんな成績でこういう血統だったカレンブラックヒルさん、種牡馬としてどういった活躍をしているのかいよいよ触れてみたいと思います。

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一年目はキズナとエピファネイア産駒が予想通りの活躍

まず2019年の新種牡馬はどういった馬たちがいたのかご紹介したいと思いますが、冒頭にもとりあげたとおり、キズナとエピファネイアがこの年の注目の二頭でした。

いずれも天下の社台SSで供用され種付けされています。

そして、他にも実績で言えばGⅠ五勝のゴールドシップ(父ステイゴールド)や海外GⅠも勝ったGⅠ二勝のリアルインパクト(父ディープインパクト)や天皇賞春二連覇のフェノーメノ(父ステイゴールド)など個性的な面々が産駒をデビューさせています。

あとスピルバーグなんかもいますが、他にGⅠ勝ちがない馬ではトゥザワールドやワールドエースなんかがいました。

海外から輸入された種牡馬としてアメリカからはエスケンデレヤ(父ジャイアンツコーズウェイ)、マジェスティックウォリアー(父エーピーインディ)などGⅠ勝ちの実績のある馬がいましたが、こうして並べてみるとやっぱりカレンブラックヒルは目立ちません(笑)。

そして産駒がデビューして一年目(2019年)、二歳戦でこれらの馬がどういった成績だったのか並べてみたいと思います。

2019年に産駒がデビューした新種牡馬の一年目の総合成績

総合順位順に並べてみますと

  • キズナ:総合37位・・・勝ち馬率.220(123頭デビューして27頭が勝ち上がり)、勝利数33(うち重賞1勝)、総獲得賞金4億6400万円
  • エピファネイア:48位・・・勝ち馬率.302(98頭で30頭が勝ち上がり)、勝利数31、総獲得賞金3億3454万円
  • マジェスティックウォリアー:76位(※)・・・勝ち馬率.250(48頭で12頭が勝ち上がり)、勝利数15、総獲得賞金1億9014万円
  • リアルインパクト:83位・・・勝ち馬率.153(59頭で9頭が勝ち上がり)、勝利数11、総獲得賞金1億6485万円
  • ゴールドシップ:88位・・・勝ち馬率.153(52頭で9頭が勝ち上がり)、勝利数10(うち重賞1勝)、総獲得賞金1億5037万円
  • ワールドエース:103位・・・勝ち馬率.220(41頭で9頭が勝ち上がり)、勝利数10、総獲得賞金1億2890万円
  • カレンブラックヒル:110位・・・勝ち馬率.182(33頭で6頭が勝ち上がり)、勝利数6、総獲得賞金8849万円
  • フェノーメノ:115位・・・勝ち馬率.125(48頭で6頭が勝ち上がり)、勝利数6、総獲得賞金8334万円
  • エスケンデレヤ:110位・・・勝ち馬率.053(38頭で2頭が勝ち上がり)、勝利数2、総獲得賞金5130万円
  • トゥザワールド:155位・・・勝ち馬率.067(30頭で2頭が勝ち上がり)、勝利数2、総獲得賞金3955万円

※マジェスティックウォリアーはアメリカ時代に種付けした産駒がすでにいたので3歳や古馬を含めた数字となります。

他にも一応新種牡馬がいるのですが、新種牡馬の中では七番目ということで、まぁ予想通りというか、こんなもんだろうなというのがカレンブラックヒルの一年目の成績でした。

全体に目をやると、新種牡馬で興味深かったのは、キズナは勝ち馬率が低い割には二勝目をあげた馬が他に比べると多かった、エピファネイアは勝ち馬率こそ一番高かったものの二勝目を挙げた馬が一頭しかいなかったなど対称的な成績だったことが分かります。

マジェスティックウォリアーはデビューした頭数が48頭とそれほど多くなかったことを考えるとよく頑張ったというデータが出ていますね。

ここまではカレンブラックヒルさん予想通りでした・・・

進撃のカレンブラックヒル!?

2020年ここまで序列はほぼ変わらずも・・・

さぁ、ここからカレンブラックヒルさんの飛躍具合を紹介したいと思いますが、2020年5月5日現在、その順位はなんと

総合 55位です!!

微妙じゃね?と思ったみなさん、あなたは正しい。

確かに微妙なんです(笑)。

ちなみにキズナは11位、エピファネイアは14位、マジェスティックウォリアー41位、ゴールドシップ45位、リアルインパクト51位、エスケンデレヤ62位、フェノーメノ72位、ワールドエース84位、トゥザワールド91位なんで、ワールドエースを抜かしただけなんですが・・・

それでもカレンブラックヒルは特筆すべき種牡馬なんです!
(何となく自信がなくなってきた・・・)

それを今から説明します。

カレンブラックヒルさん何が特筆すべきなのかと言うと・・・

勝ち馬率が一番高い!

はい、ここに注目してください。

カレンブラックヒルのこれまでののべ勝ち馬率がなんと

3割7分2厘!(2019年新種牡馬中最高)

を記録しています。

2020年単年だと2割5分(キズナは2割5分6厘、エピファネイアは1割2分3厘)なのでそれほど目立たないのですが、2019年と2020年と合わせた通算の成績ではなんと2位のキズナの3割5分1厘を上回る数字になっているわけなんです。

エピファネイアは逆に二歳時には一番勝率が高かったんですが、新たに35頭がデビューしてはいるもののさほど勝ち馬率があがらず3割1分3厘にとどまっているという結果がでています。

二歳でデビューしていた馬が勝ち上がり始めている

カレンブラックヒルの場合、産駒数がキズナやエピファネイアほどいないので調べやすいのですが、2019年には33頭の産駒がデビューしています。

そして2020年になってからはのべ出走頭数が43頭になっているので、新たに10頭の馬が年が明けてからデビューしていることが分かります。

2020年のここまで総勝ち星数10(2019年は6)の詳細を調べてみると10頭勝ち上がったうち、今年になってからデビューした馬で勝ったのは2頭しかいません。

つまり昨年すでにデビューしていた馬が勝ち上がってきたという内容になっており、そのしぶとさが分かります。(2019年デビューの33頭で14頭が現時点で勝ち上がっているというのはトップ種牡馬なみです)

そして勝ち上がった馬が今のところ通算で16頭いるのですが、デビュー戦で勝ったのはたった1頭のみで、使われているうちに結果がついてくるようになったというデータが出ています。

また面白いことに今のところ二勝目を挙げた馬がいないというのも面白いですね。

エピファネイアは早い段階で勝ち上がってくるけど二勝目はあげにくい、カレンブラックヒルは中々勝ち上がってこないし二勝目を挙げないけど、気付いたら勝っているという内容になっています。

圧倒的にお得な種付け料

一頭当たりの馬が稼いだ賞金額の指標を示すアーニングインデックス(EⅠ)ではキズナがここまで0.47、エピファネイアが0.43、カレンブラックヒルが0.34になっているので、やはりキズナやエピファネイアのほうが有能な種牡馬にも見えますが、ここで注目なのは種付け料です。

キズナは2016年当時250万円の種付け料、カレンブラックヒルは100万円(出生条件。受胎条件だと70万円だったようです)なので、一頭当たりの獲得賞金額からいうと2.5倍は稼いでないとけいない(実際は馬がいくらで売れたかが重要ですが・・・)ので、いかにカレンブラックヒルはお得だったかが分かります。

2019年新種牡馬の2020年の種付け料

カッコ内は2016年の種付け開始時の種付け料とその推移

  • キズナ・・・600万円(250万円→350万円→)
  • エピファネイア・・・500万円(250万円→)
  • ゴールドシップ・・・300万円(300万円→250万円→)
  • マジェスティックウォリアー・・・180万円(200万円→)
  • カレンブラックヒル・・・100万円(100万円)

ほとんど人気をした馬が勝っている

そしてさらに面白い点としては勝ち上がった十六頭の勝った時の人気ですが、

  • 一番人気・・・五頭
  • 二番人気・・・四頭
  • 三番人気・・・四頭
  • 五番人気~九番人気・・・三頭(五番人気、七番人気、九番人気が一頭づつ)

という内容になっており、激走型というよりもある程度走る雰囲気がある馬が勝っているというのがデータから見えます。

さらに言うと、五番人気以下で勝った馬はいずれも二歳の時の馬で三歳で勝った十頭はいずれも三番人気以上という興味深い結果になっています。

2017年産の全64頭中48頭が賞金を稼いでいる

そしてさらに突っ込んで調べてみると関心させられたのが賞金を稼いでいる馬の割合です。

カレンブラックヒルの初年度産駒(2017年生まれ)は64頭の存在が確認できたんですが、地方を含めるとなんと七割以上にあたる48頭が賞金を稼いでいることが分かりました。

ちなみに7頭は所属きゅう舎すら決まっていないようなので実は57頭中の48頭なので八割以上の馬が地方を含めて何らかの賞金を稼いでいるということになります。

つまりはですね、馬主さんにとっては超一流にはならなくても、最低限賞金を稼いでくれる主牡馬ということになり、こういった種牡馬の子供は重宝されるはずだと思うんですよ。

まとめ

かつてはサウスヴィグラスという種牡馬が馬主孝行の種牡馬”お助けヴィグラス”として話題となりましたが、このカレンブラックヒルも同様に”お助けカレン”として話題なる日がくるような気がするんですよね。

またこういった地味な活躍は生産者の人達は当然見逃すはずもなく、種付け頭数も増えるはずです。

繁殖牝馬の質もいくらか上がってくるとは思いますし、この中からいずれ大物が出てくるかもしれませんし、偉大なる父ダイワメジャーも意外とサイアーラインがつながるのではないかと思う今日この頃です。

とりあえず後継種牡馬の大本命アドマイヤマーズが種牡馬入りするまで頑張ってもらいましょう(笑)。


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