サッカー日本代表を総括 ワールドカップ2018ロシア大会

2018FAFAワールドカップ ロシア

ベルギーに逆転負けで史上初のベスト8入りはならず

2018年の7月3日(現地時間7月2日)は日本だけでなく世界に衝撃を与えるはずの日でした。

世界ランキング3位のベルギーに対して、61位の日本がまさかの2点リードをして試合の残り時間は約20分。90分の試合時間のうちたった20分を守り切るだけのミッションでしたが、そう簡単に行かないのが、サッカーという世界中で愛される筋書きのないスポーツ。

試合開始序盤の20分とは違い、永遠とも思えるような時間経過に感じられましたが、あっという間に同点に追いつかれ、最後はご存知のようにアディショナルタイムでの失点。

試合をしている選手たちだけでなく、試合を見守る日本人のすべてを天国から地獄に落とした未明のスペクタクルでしたが、両国のサッカーの伝統と哲学が凝縮された90分であったことは間違いないでしょう。

このサッカーワールドカップロシア大会で日本代表は、世界に結果こそ示すことはできませんでしたが、感動と衝撃を与えてくれました。

そこで今回はまだ失意の中から立ち直ることはできない僕ですが、個人的に今回のサッカー日本代表について総括してみたいと思います。

(サムネイル画像引用:「日本サッカー協会」公式ページより)

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最後の最後で直前の監督交代が仇となる

さて、ここからはサッカー日本代表について個人的な感想を書いていきたいと思いますが、まずは選手の皆さんやスタッフの方々お疲れ様でしたと言いたいと思います。

直前の監督交代という混乱はありましたが、代表として戦った方々は全員がさぼることなく誠実に戦い、それぞれが与えられた仕事をしっかりとやったと言える内容でした。

それが日本だけでなく、地元ロシアの観客や世界中の視聴者に感動を与えた理由でしょう。

また結果も当初の予選リーグ敗退という悲観的なモノを覆し、初のベスト8にほぼ足をかけたところまでいき素晴らしいものでした。

ただ、それが残り20分でスルリと逃げてしまったわけですが、最後は体力の低下とともに集中力も低下していたのが原因だったように感じました。

試合は押し込まれる時間はあるものの、機を見てチャンスを作り実際に2点リードしていた状況を作り出せていたわけですが、やはり最後は日本の選手に試合序盤のフレッシュさがなくなっていたのが大きかったのではないのでしょうか。

個人的にはベルギーが二人同時に選手を入れ替えた時点で、日本も何かしらの対策をとるべきだったように感じましたが、そこまでうまく行きすぎていたせいか、西野監督は動かなかったというよりも動けなかったように感じました。

それまでうまく行っていたバランスを壊したくなかったように感じたのですが、このあたりはスタメンの選手と同じクオリティとメンタルを持った選手がベンチに存在しなかったのがベルギーとの差であり世界との差であったように感じます。

それこそベンチで一番のタレントである本田選手でさえ、投入すれば多少の高さとセットプレイで違いは与えられますが、中盤での守備や攻撃への切り替えという点でスピード感を失わせるなどマイナスも出てきますね。

ベンチの選手を出すとバランスが崩れる心配があるのは少し致命的であり、チームとしては未成熟でした。

このあたり選手層の面で差があったことは明確ですが、それを様々なスペシャリストを用意することにより乗り切る手はあったと思います。しかしながら今回は直前に監督が代わったこともあり、それをできるほどの準備期間や予行練習ができなかったのが結果的に痛かったと言えますね。

少なくとも今回のほとんどの試合で先発したメンバーのクオリティは世界に通用するものでしたが、次の矢や盾が用意されていませんでした。

リードしている状況のシミュレーションができていなかった?

今回のベルギー戦での敗戦ですが、細かいミスはいくつかあったにしても個人的に選手はよくやったと思いますが、敗着の原因は西野監督にあったように感じます。

先にも書きましたが、結果的には選手交代が遅かったのが明らかであり、最後のカウンターのシーンでも選手交代の枠が一つ余っていたのは言い訳のできないミスでしょう。

それこそ右サイドバックの酒井宏樹選手などはかなりコンディションが悪くなっていたように感じていたので、ここで酒井高徳選手でも入れておけば、最後のシーンでしっかり戻れていた可能性もあり、チームとしての強度を保てていたかもしれません。

もっとさかのぼると2点リードの状況で何もアクションを起こそうとしていなかったのはなぜなんでしょうか。

ベルギーはフェライニとシャドリを投入し、さらには左サイドで危険な香りを漂わせていたエデン・アザールがポジションを流動的に変えてきてもディフェンスのやり方を変えることなく無策だったように感じます。

これが世界のサッカー一流国であればフレッシュさを失ったところに新しい選手を入れ替えるだけで、チーム力の維持が可能ですが、一長一短の選手の集まりである日本代表だと中々難しくていかにチームで守るかがポイントであり、事前の約束ごとを決めていたはずですが動けなかったように感じ、中途半端に相手の攻撃を受けてしまったように感じました。

定石であれば2点リードで相手がパワープレーにくるのであれば、こちらはポゼションを高めてカウンター狙いで前に早い選手をおく選手起用がベストだったように感じます。

結局これまでの香川→本田ではなく原口→本田という選手交代を考えても監督が少し冷静さを欠いていたのではないのでしょうか。

最後に23人から漏れた浅野選手がいればというタラればはありますが、それも勝っている状況でどう試合を終えるかというシミュレーションができていなかったように思います。

選手寸評

あくまで素人の個人的な感想ですが、今回は攻守にわたってほどんどの選手がよくやったと思いますね。

川島永嗣(GK)

予選リーグの時からミスが目立ちましたが、個人的には彼に代わるGKがいるかというそうも感じません。

それこそ事前にもっと親善試合で彼の代役を見つけられなかったのが、今回の結果を招いたとも言えますね。できればポーランド戦は別のキーパーを試すチャンスであっただけに、西野監督は彼の男気を信じたのでしょうが、一回の失敗がすべてをぶち壊すポジションなだけに日本の最大のウィークポイントであったことは間違いないでしょう。

ポーランド戦やベルギー戦ではファインセーブもありましたが、全体的に思い切って出ていってキャッチに行く場面が少なく、判断力も不安で精神面でも弱気になっていたように感じます。

現在35歳なので次はないでしょうが、世間で言われるように日本で一番不安なポジションですね。もっと野心的なGKが出てきてもいいと思います。

吉田麻也(CB)

イギリスのメディアではベルギー戦のマンオブザマッチに選んでいるところもあるようですが、納得の内容ですね。

かつては高さとディフェンダーにしては高い足元の技術が武器であったものの、一試合で一回はやるポカが課題でしたが、完全にワールドクラスのセンターバックに成長しており相手のエースに仕事をさせていませんでしたね。

伊達にプレミアリーグでやってないなと感じましたが、彼が元気なうちは試合は壊れないでしょうね。

強度の高いセンターバックが他にいれば彼が攻撃参加するというオプションもありますが、本当にすごい選手に成長しました。

昌子源(CB)

スタメン組では唯一の国内組でしたが、世界的には完全に評価を得た選手でしょうね。吉田とのコンビは安定感抜群でリスク管理もしっかりできていました。

まだまだ若い選手なのでさらなる成長が期待されますが、吉田がいないときにどう守るかや、今回はまだ最低限の仕事をしたという感じなので、海外へ出て自信と経験を積んでもらいたいと思います。

次の代表では中心にいてもらわないといけない重要人物ですね。

酒井宏樹(SB)

さすがマルセイユでスタメンを張っているというかディフェンス面に関しては世界レベルですね。見ていて安定感がありますしサイズがあるのもいいですね。

ただ贅沢を言えば若い時は代名詞であったアーリークロスにもっと磨きをかけてほしいところですが、それを結果につなげられそうなFWがいないのはちょっともったいない感じはします。

現在世界的なサイドバックは好守をできなければいけないので、かつての内田のようにゲームメイクもできれば完璧なんですが、もしくはセルヒオ・ラモスのようにセンターバックへの転身や併用、スリーバックの一角としても見てみたいですね。

長友佑都(SB)

ガムシャラに走るのが持ち味だった彼も、考えた走りができるようになり、好守に自信が見られますね。全盛期ほどの加速力は影を潜めましたが、逆にトラップやクロスは格段にうまくなっています。

若い時は何も考えずに上下運動をしていて、それが逆に敵に対しても予測不能なところがよかったような気もしたんですが、最近は良くも悪くもまとまり過ぎているのが何となく不満ですね。

同郷の選手なので香川とともに一番応援している選手ではありますが、かつては中村俊輔に育ててもらったように後継者を作るまでは代表にいてほしいですね。

酒井高徳(SB)

両酒井の一角だった”ゴートク”選手ですが、”ゴリ(酒井宏樹)”の成長もあって少し存在感がなくなりましたね。

個人的には闘志あふれるスタイルが大好きなので使ってほしいところですが、突き抜けた能力がなく、なんとなく器用貧乏な選手に感じます。

それが彼のいいところでもあり、使い勝手のいいところなんですが、代表では色々なポジションで使われるのが可哀そうに感じますね。

今回はサイドハーフで起用されただけでしたがやっぱり彼を固定できないところが日本の弱さであるような気がします。

どうやら彼も代表引退の意向のようですね。

長谷部誠(CMF)

キャプテン長谷部ですが、リスク管理や攻守にわたる安定した能力など黒子としてなくてはならない選手ですね。

今回は攻撃時は最終ラインに入ってパス回しにはいることもあり、ピッチ上の監督でもありましたが、ベルギー戦は二点目、三点目ともに彼がプレイに絡んでいたので少し戦犯のきらいがあります。

ただ、彼の場合危険な場所を感知しているからそこにいるという見方もできて、そこが評価のわかれるところですよね。

かつてのスピードや躍動感はなくなりましたが、かつてのバレージやマテウスのように最終ラインでプレイするようになるんでしょうか。

遠藤の後継者として柴崎が現れましたが、今度は長谷部のポジションが心配ですね。

柴崎岳(CMF)

鹿島アントラーズからスペイン移籍後もブレイクとまで言い切れない活躍であり、日本代表もギリギリのところで残った感じだった柴崎君でしたが、日本人から見てもいい意味で予想を裏切ってくれたのが彼でしたね。

かつて攻撃時には意思のあるパスを放ち存在感を放っていた彼でしたが、今回の大会では守備からの素早い切り替えや長短を織り交ぜたパスだけでなく、危ない場面での守備も効いていました。

また彼のところでボールが収まるので香川も活きていました。

完全に欧州仕様のプレイスタイルになっておりクロアチアのモドリッチのばりのプレーをしていましたが、あとはパスを供給するだけでなく縦への推進力が出てくれば相手にとって本当の意味で怖い選手になりますね。

香川ー乾ー柴崎の関係はしばらく今後の日本の武器になりそうです。

山口蛍(CMF)

今回は柴崎が代えの効かない選手となっていたため出番は少なかったですね。

ベルギー戦の最後のカウンターシーンではデブルイネとセンターサークル付近で対峙したのが彼でしたが、ファールしてでも止めるべきだったという意見も分かりますし、デブルイネが早すぎたので仕方ないという見方もできますね。

守備的なプレーヤーなので仕方ありませんが最低限の仕事はするものの、縦への推進力や散らしの部分で物足りず、かといって基本的な能力は低いわけではなく、よくも悪くも日本的なプレーヤーという印象ですね。

やっぱり海外からすぐに日本に帰ってきたのは、他の海外組のクオリティを考えるとマイナスだったような気がします。

香川真司(OMF)

直前になってようやく本来の居場所であるトップ下に定着できた香川選手ですが、やはり本田の住み分けと柴崎、乾との併用が大きかったでしょうね。

本番ではさすがのクオリティであり肝心なところでトラップやパスをミスらず、やはり別格ともいうべきプレーでしたが、残念だったのは得点という目に見える結果がPKのみだった点ですね。

やはりペナルティエリア内でボールをもつと守る側にとっては一番怖い選手であり、まわりが上手いと活きますね。

今回ドイツ代表の試合を見ていると彼のような選手が必要だと感じました。

本田圭佑(OMF)

予選リーグは香川選手とトップ下で併用、ベルギー戦は終盤でサイドハーフの起用でしたが、もっと早くこの形に行きつくべきでしたね。

どうしても彼が入るとサイドのポジションを放棄するなどして香川選手などの居場所がなくなってしまうことが多く、”本田システム”になることが多かったのですが、個人的に彼が黒子に徹しきれなかったのが一段階上に行けなかったような気がします。

体のサイズがあって他の日本人選手に比べるとアジリティが低いので、ヨーロッパや南米の選手にとっては守りやすいプレーヤーだと思うのでやっぱりボランチの位置で見てみたかったですね。

代表引退だけでなく現役引退なんて声もありますが、長谷部の代用としては彼が適任だと思います。

乾貴士(SMF)

柴崎と同じくハリルホジッチ時代は一体なんだったかと思われるぐらいの大活躍でした。

セレッソ時代から香川選手と抜群の相性を見せていましたが、今大会では勝負強さと守備力も向上していることを見せてくれましたね。

今回はアタッカーとしての活躍でしたが、彼の活躍はセンターフォワードの得点力が頼りないことの裏返しなので、偽9番など0トップのシステムが合うのかもしれませんね。

彼みたいなのはアジアレベルより強豪相手のほうが良さが出るような気がしますね。

原口元気(SMF)

浦和レッズ時代は我の強いフォワードとして悪い噂のほうが多かった彼ですが、ドイツに行っていい意味ですっかりと変わってしまい、あらゆる場所で動き回るダイナモへの変身をとげましたね。

ベルギー戦での先制点はかつてのフォワード時代を彷彿させるものでしたが、現在は自分の技術的な限界を受け入れて出来ることを出し切るようなプレイスタイルになっていますが、彼の変化をみるとやっぱり海外にいったほうが一段階上に行けるなと感じてしまいますね。

相手が一流だと技術的・フィジカル的には凡庸になってしまうので、かつて起用されたこともあるボランチやウイングバック、サイドバックなどのほうがチームとして面白いような気がしますね。

大迫勇也(FW)

予選リーグやベルギー戦では前線での起点として獅子奮迅の活躍をしてくれました。

彼がボールを保持してくれるおかげで香川や乾が攻撃参加できる時間がつくれたので、価値ある働きでしたがセンターフォワードとしての怖さがなかったのが今後の課題でしょうか。

ただ、彼以外に現状前線でためを作れる選手がいないので、今後は彼が使えない時にどうするのかが日本の課題でしょうか。

少なくともゴール前でフリーでボールを受けたシーンが二度はあっただけにあそこを決めておくともっと違った結果を見れたのかもしれませんね。

日本代表の今後

世代交代をどうするか

今回のロシア大会の終了にともない、少なくとも長谷部、本田、酒井高徳選手が代表からの引退を表明していますが、他の主力選手も30前後の選手が多いため次の代表は大きく顔ぶれが変わることが予想されます。

おそらく4年後に代表に確実に残っているのは吉田麻也、昌子、柴崎あたりぐらいでしょう。

今回大活躍した乾や香川、長友にしても4年後に今のレベルをキープできているかは年齢的に微妙なので新たな人材の発掘は急務でしょう。

幸いにして中盤には、オランダの堂安律選手や元バルサの下部組織にいたことで有名な久保建英君、現在レアルの下部組織にいる中井君がいるので安泰でしょうが、ドラスティックに選手を入れ替えるのか、はたまた乾、香川のセレッソラインをチームの柱としてチームをオーガナイズしていくのかこのあたりは注目ですね。

個人的にはやはりセンターフォワードとゴールキーパーは早く何とかしないといけないポジションだと思いますね。

次の監督は?

世間では最近”監督はやっぱり日本人がいいのでは?”という論調がありますが、僕はやっぱり外国人監督派です。

今回の敗戦は選手のクオリティよりも選手交代で思い切って行けなかった監督のレベルさが大きいように感じたので、やはり監督は世界基準の選手がベストだと思いますし、日本人監督を起用するのであれば現役時代に海外でプレーしたことのある人選がベストでしょう。

これからは監督も世界を知る人であるべきでしょうし、そのほうがマッチメイクもしやすくなると思います。

そこで個人的に監督として適任な人選をしてみたいと思いますが、強化委員長やGMみたいな役割としてオシムさんに全権を与えたうえで、セレッソなどで指揮をとったクルピやサンフレッチェやレッズで実績のあるミシャ(ペトロヴィッチ)というのを見てみたいですね。

他にはストイコビッチなんかでも結果は残しているのでいいかもしれませんね。

あくまで噂レベルだと元ドイツのクリンスマンやヴェンゲル待望論などもありますが、やっぱり日本で監督をしたことのある上記の人たちのほうが長期的な視点だとベストのような気がします。

大穴では忘れさらていますが元大分のシャムスカなんかもありだと思うんですが、どうしても日本人にこだわるのであれば現ジュビロ磐田監督である名波さんなんかが、僕としては希望ですね。

とにもかくにも10年先を考えた監督選考をしてもらいたいと思います。

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