マンガ「地方騎士ハンスの受難」を読んだ感想

地方騎士ハンスの受難

今回はWEBマンガ読んでみました

以前のサンデーの記事でも取り上げたように、かつて覇権を握っていた少年マンガ雑誌が最近、全盛期の力を完全に失っています。

その原因は様々あるんでしょうが、コンテンツそのものの陳腐化や少子化とともに見逃せないのはやはりWEB媒体の存在でしょう。

いわゆるペーパーレス化の影響であるわけですが、読者がわざわざ雑誌を購入する必要がなくなっているのとともに、気になるのはマンガ業界・出版社の存在感の低下と、流通システムの変化の必要性です。

現在はマンガ家や小説家を目指す人が出版社に持ち込みや投稿などを行わなくても、自らインターネット上で発表したり、投稿サイトで公開することにより光るものがあれば誰でも成功を掴むことが可能です。

かつてのようにマンガ家や小説家の卵たちが世の中に出るために、大資本による大プロモーション活動をかならずしも必要としなくなったというわけですが、この流れは他の流通業界と同じように卸業者や中間業者がもはや必要な存在ではなくなっていると言えます。

そういった意味では、出版会社はネットで完結してしまう今の仕組みに対して、どうアドバンテージをもたせるかということは重要になってくるでしょう。

さて小難しい話で始まってしまいましたが、いつもはマンガ雑誌に掲載されているマンガを取り上げることがほとんどのこのブログ、そろそろWEB発のマンガも取り上げねばということで、今回は最近読んだ「地方騎士ハンスの受難」という作品を取り上げながら、この作品や他のWEBマンガの現状をどう感じたのか書いてみたいと思います。

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「地方騎士ハンスの受難」とは

地方騎士ハンスの受難」とはアマラさん原作のライトノベル作品となります。

この作品は元々一般人だったアマラさんが、web小説の投稿サイト「小説家になろう」で公開していた作品のようですが、「アルファポリス」(アルファポリス電網浮遊都市)という同種の小説・マンガの投稿サイトに移籍し、書籍化・マンガ化が行われたことにあわせて、内容を一部取りまとめて公開された作品となります。

すでに原作は完結しており全7巻が刊行されています。

この原作を元に、現在マンガ板の公開が行われていますが、マンガ版は投稿作品という形ではなく、サイトの公式マンガとして公開されており、閲覧は小説版と同じく閲覧が一部有料となります。

作画は華尾ス太郎(はなお すたろう)さんが担当しています。

あらすじ

剣と魔法が存在する世界。

とある辺境の地に住む騎士ハンスは、かつて国内でも有力貴族の一つスエラー伯爵家の五男坊として誕生し、非凡な才能を発揮して国の騎士団長まで務めた人物でした。

彼は数々の武勲により”魔術師殺し”の異名をとるほどでしたが、その力を徐々に危険視しはじめた実家であるスエラー家の策略により最前線に送り込まれます。

しかしながらこの苦難に対して彼は自ら敵の総大将を打ち取り、隣国との戦争を終わらせるきっかけとなります。

これに喜んだ王はハンスに褒美に何が欲しいか尋ねますが、彼の願いは”辺境の地でゆっくりと一騎士として生活することでした”

喧騒と混乱中に身を置いてきたハンスにとっては、権力争いやしがらみのないのんびりとした生活を送ることこそが望みだったわけですが、そんなリタイア生活を送ろうとした矢先、彼の前に四人の見慣れぬ人物たちが現れます。

彼らはそれぞれ知り合いではなかったのですが、共通していたのは黒髪に黒い瞳を持ち、それぞれがその世界では圧倒的な力となる特殊能力をもっていたことでした。

そして彼らのもう一つの共通点はそれぞれが”にほん”という国からやって来たという点でした。

のんびり田舎暮らしを送るつもりだったハンスの周りではまた様々な出来事が起こり始めます。

と、いったようなお話です。僕なりにまとめてみました。

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やはり似たような”異世界転生モノ”が多い

さて、ここから「地方騎士ハンスの受難」やWEBマンガの感想を書いていきたいと思います。

最近もっぱらこのサイトの更新頻度が落ちていますが、実はこれらのマンガを読んでいたのも原因です(笑)。ガッツリ六、七作品ぐらいは全話(最新話まで)読んできました。

上で少し紹介したように「アルファポリス」というサイトの作品を中心として、各マンガアプリで読める作品で気になったものを、色々な方法を駆使して読んでみたのですが、やっぱり今は”異世界転生モノ”が多いなというのは感じましたね。

内容は、それこそどの作品も入り方はどれも似ていて、現実世界に住んでいる主人公が突然剣と魔法の世界に転生したり召喚される話ばかりなんですが、ビックリするぐらいこの入り方はテンプレートどおりというか、主題が決められているかのような入り方が多かったです。

どの作品も本当に笑えるぐらい同じ始まり方をしているわけなんですが、まぁ、こういった恥も外聞もないようなやり方は自分で作品を作るとすればやらないとは思うものの、実はそれぞれの作品は意外とどれも面白かったというのが僕としての感想です。

主人公が異世界に転生→気付くとそこはRPGゲームをベースにしたような剣と魔法の世界→元の世界では普通の人間だったのにトンデモナイ能力がありほぼ無双・無敵の圧倒的な状態→元の世界は完全スルーで女性キャラにモテモテのハーレム状態

これがいわゆるテンプレートなわけですが、当然細かい設定などは異なります。

例えば主役がスライムだったり、盾をもっていたり、元々駆除スキルのある人だったり、料理が得意な人でそれが魔物に受けて懐かれるというものがあったりする(そのうちそれらの作品も取り上げるので今はタイトルは伏せておきます:分かる人はどれもピンとくるでしょう)わけですが、中々面白さのツボは押さえられてるというか、よく出来ているというわけです。

異世界転生というきっかけを挟めば主人公たちのチート級の能力の説明も納得しやすいですし、実は主人公がほぼ無敵状態なのに、それを知らない敵や仲間が勝手に右往左往するというのは「暴れん坊将軍」や「水戸黄門」的なお約束やストーリーの落としどころとしての安心感もあります。

これらはどれも普及の名作にはなり得ないとは思うんですが、感覚としては色々なRPGゲームをしているのに近い感じがします。どれも似たような内容なんだけど、とりあえず大ハズレはないといった感じというところでしょうか。

しかも同じく思ったのがこれらのマンガ作品の絵のレベルは結構高い、というのがやっぱり読んでいてストレスになりませんでしたし、クセのない絵も多くて

”これだったらジャンプの現在の連載作品といくつか入れ替えたほうウケるんでね?”

とは思った作品も多かったわけです。

ストーリーの多様性という面ではゼロには近いものの、面白いか面白くないか、新規のユーザーをどちらが捕まえやすいかという比較で言うと、紙媒体の漫画雑誌の中堅レベルだともう危ないのではないか?というぐらいには思いましたね。

それぐらいWEBマンガの作品のクオリティは非常に高いと思いました。(まぁ、これはWEBマンガの感想というよりも異世界転生モノというジャンルの感想になりますが・・・)

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マンガ「地方騎士ハンスの受難」の感想

逆転の発想

肝心(笑)の「地方騎士ハンスの受難」の感想ですが、設定は中々新鮮で興味を引く内容で面白かったと思います。

多少のネタバレにはなりますが、通常”異世界転生モノ”であれば、いままでは主人公もしくはその周りの人たちが異世界に飛ばされてしまうわけですが、この作品は逆転の発想で主人公のところに異世界から人間がやってきます。

通常招かれた側が主人公なんですが、元々いた世界の人が主人公というのはあまり見られない設定のような気がします。

そこからは他の作品と同じように転生者はその世界ではチート級の能力を発動して大活躍してくれるというお話なんですが、こういう転生モノを見慣れてくるとこういった手法は少し新しく感じて中々新鮮でよかったと思います。

また主人公も敵を打ち倒すタイプの展開ではなく、巻き込まれ型の展開というのも他にはないような手法で、似たような世界観で設定が被らないというは、異世界転生モノではポイントであると感じつつ、先やったもん勝ちだろうなという印象も受け、このジャンルにいつ飽和状態(読み手もお腹イッパイ)が来るのかな?という心配はでてきましたね。

絵やキャラクター、設定もよい

そして作品の中身を見ていくと絵はうまいです。ジャンプなんかの作品より全然ウマいです。これは間違いない(笑)。

上にも書きましたが、こういった系統の作品をまとめて読んでみるとこの部分にビックリしました。

それもいわゆる二次元オタクという人達が書いた萌え系の違和感タップりの僕がドン引きしてしまうような絵面という雰囲気でもなく、”なんかフツーにウマい人がマンガ書いた”という作品ばかりで、新鋭のライトノベル作家とストーリーが苦手で世に出てこなかった絵師の人たちがwin-winの関係になっているというのを本当に実感してしまいます。

また、この作品には様々な転生者が登場するわけですが、それぞれの味付け・差別化はしっかりできており、能力のふり方もストーリー展開の多様性を出すことを可能にしており、時には滑稽無糖ながら少し戦隊ヒーローものに近い感覚も感じましたね。

あとまったく設定は違うんですが、それぞれが色々な能力を駆使して活躍するというのは展開や設定はまったく違いますが「ジョジョの奇妙な冒険」的な要素も感じました。

ただ、途中の”オラオラオラ”とかというジョジョのオマージュ的な表現があった(笑)の影響はあるのかもしれません。

もっと大きな展開が欲しかった

さて最後にこの作品の残念だったことを書きたいと思いますが、やっぱりこういう作品だと心配なのは二次元マニア向けの展開ですよね。

僕も漫画好きではあるんですが、正直なところ巨乳の女の子が出てきてハーレム状態や幼女キャラが萌え萌えな動きをするという展開、少しエロを感じさせる展開というのはストーリーに必要であれば多少は我慢できるものの、やり過ぎは本当に邪魔にしか感じません。

いわゆる一般向けから少し逸脱したような同人誌的な展開だとこれはアリなんでしょうが、これが一般的なマンガ好きのスタンダードかというともちろんそうではないでしょうし、あくまで一部のファンのみが望む展開だとは思い、あまり歓迎はされないと思うんですよね。

で、この作品はそこまで上に書いたような展開があるわけではないんですが、かと言ってこの要素がゼロではないわけです。

非常に多くの女性(タイプ)のキャラクターが多く登場するんですが、この作品の惜しいところはこの女性キャラクター達を少し掘り下げすぎているのが残念過ぎます。

本来は異世界転生者が能力を活かして主人公ハンスの力になるという王道展開が描かれるはずですし、そのような王道展開のほうが一般受けはすると思うんですが、とにかく女性キャラクターがストーリーの本筋とはあまり意味のないところでバタバタしすぎて話が進まないわけです。

だから最初の転生者の一人にパワー系の脳筋女子がいるんですが、この娘がどうにもこうにも馬鹿やり過ぎていて剣と魔法の世界でありながら、ほとんど日常系の作品に寄ってしまっているわけですよね。

ここは本当にイライラします。

結局のところ主人公が本来は大活躍できるキャラクターでありながら、”周囲の馬鹿のせいでトラブルに巻き込まれてヤレヤレ”という展開に終始しまっており、同時並行で進む大枠の展開が活かされておらず、登場キャラクターの使い方が非常に惜しいなという感じの作品になっています。

これは読む人の趣味にもよると思いますが、とっとと話進めろよと僕は終始思いながら読んでいましたね。つまらなくはないんですが、原作がこうだったのかコミカライズでこうなってしまったのか、いい部分もあっただけに少しテンポ感の部分で残念に感じてしまった作品でした。

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