「鉄拳チンミ」はやっぱり面白い:このマンガ面白い(18)

鉄拳チンミ

不朽の名作”チンミ”は世代を超えていまだ色褪せず

鉄拳チンミ」と言えば、詳細は後述するとして、1983年から月刊少年マガジンで連載されている人気マンガです。アラフォー世代どころかアラフィフ世代の方もご存知の方が多いでしょうし、小学生や中学生の方もリアルタイムで読んでいる方も多いでしょう。

手軽に読める内容ということもあり、マンガを置いているような食堂や中華料理屋なんかでは定番中の定番として置いてある店が多いですね。

おそらくですが、よっぽどのクソ真面目の人以外はほとんどの人が読んだことぐらいはあると思います。

そんな「鉄拳チンミ」、マンガから引退した”自称大人”の人は、すでに連載が終わっていると思っている方もいるとは思うんですが、実はまだ終わっていません。

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ないと分かる作品の偉大さ

実際のところ2019年の4月号より作者都合により休載はしているのですが、現シリーズの「鉄拳チンミ Legends」は2019年8月現在も25巻まで発行されています。

ただ、月刊少年マガジンの8月号でも引き続き連載は中断されたままではあるんですが、チンミが載ってない月刊少年マガジンはやっぱりどこか物足りません。

かつて週刊少年ジャンプにも「こちら葛飾区亀有公園派出所前(通称:こち亀)」という長期間連載されていた作品はありましたが、連載終了晩年はやはり多少のマンネリは感じるもので、こういった長期にわたって連載された作品は、最終的には読むもののどこか後回しにしようとしてしまいますよね。

ところがどっこい、こういった作品はいざ無くなってみると偉大さに気付くわけで、チンミやこち亀が載っていない号には何とも言えない喪失感が存在します。

特に最近は各雑誌の連載作品のレベルが落ちてきているせいもあるのか、それが顕著になってきていますね。無くなってわかる偉大さとも言うべきでしょうか。

そこで今回は「鉄拳チンミ」シリーズの偉大さをみなさんに改めて知ってもらうために、取り上げてみることにしました。

(画像引用:講談社コミックプラス「鉄拳チンミ Legends」より)

「鉄拳チンミ」シリーズとは

1983年から月刊少年マガジン(講談社)で前川たけし先生により連載されている人気作品となります。現在も連載中ですが、2019年4月号を最後に作者都合により休載中です(理由は不明)。

連載当初の「鉄拳チンミ」というタイトルから「新鉄拳チンミ」を経て現在は「鉄拳チンミ Legends」のタイトルで連載が行われています。

「鉄拳チンミ」

連載期間:1983年11月~1997年1月 全35巻

主人公チンミの大林寺入門から天覧武道会までを描いた作品です。

作品の原点とも言える作品であり、序盤のヤマであり後の展開にも影響を与える”通背拳”やライバルであり親友でもシーファンとの”棒術”の話が見どころですね。

「新鉄拳チンミ」

連載期間:1997年2月~2004年10月 全20巻

カナン自治区編と水軍編の二編により構成されています。

前作とは違い、天覧試合で優勝したこともあり、知る人ぞ知る存在になっていたり、友人のシーファンやタンタンと共闘するところが新しい要素になっていますね。

「鉄拳チンミ Legends」

連載期間:2006年8月~(現在は作者都合により2019年3月から休載中) 既巻:25巻(※2019年8月現在)

現在のシリーズですが、すでに国中に知られた存在でもありますが、それでも大林寺内では一師範として振る舞い、弟子たちとの微笑ましいやりとりが面白いですね。

皇帝から国家功労賞を授与されたことに様々なトラブルに巻き込まれていくことになります。

「鉄拳チンミ 外伝」

連載期間:1997年7月~(不定期) 既巻:4巻

文字通り外伝となりますが、大林寺入門以前のチンミや親友のシーファンやタンタンの物語が描かれています。

この外伝のみ月刊少年マガジン以外(月刊少年マガジン増刊GREAT、月刊少年マガジン+)にも掲載が行われています。

初心者歓迎!どこから読んでも分かりやすいストーリー

さて、ここから「鉄拳チンミ」の感想というか僕なりの評価をまとめていきたいと思います。

まず「鉄拳チンミ」の特徴はなんと言ってもすべての部分におけるその”分かりやすさ”でしょう。

大林寺で拳法を学んだチンミが悪を倒すという単純明快な、勧善懲悪ストーリーの繰り返しです。

そのため途中参加がし易く、最近の設定ばかりにこだわって途中から読むとまず何をやっているか分からない作品比べると、その圧倒的な取っつきやすさは最大の武器とも言えます。

ただ、この作品の凄いところは、各シリーズで同じような展開があるものの、ギリギリのところでマンネリを感じさせない点です。

序盤では”通背拳”という必殺武器を手に入れたと思えば、後に棍棒の技を学びます。

それらを活かしながら敵を倒していくわけですが、これらの技を得る過程で知り合った登場人物が上手くストーリーに絡んでいるという印象を受けます。

また、こういったジャンルの作品にありがちな、実はほとんど時間経過がないというわけでもなく、序盤はただの大林寺の門下生だったチンミが、師範になり弟子ができる、そしてさらに活躍することになり、国中に知られた使い手となるという具合で、周りとの関係や評価に変化もあるので、ベテラン読者からチンミ初心者まで楽しめるようになっています。

ラーメン屋でふと鉄拳チンミのコミックを手にとってもどの巻でも同じように楽しめる”金太郎飴”感は、中々他の作品には見られないものですね。

こういうのは一話完結型ではありますが「こち亀」との共通点となります。

直感的に理解できる絵柄と躍動感

そして「鉄拳チンミ」の最大の魅力ですが、それはやはり絵(画)でしょう。

ベテランのマンガ家さんということもあり、非常に線がしっかりしており、素人目には難しいことはしていないように感じるのですが、画力においては全部分で違和感を感じさせられることはまずありません。

実のところこの作品の世界観は、中国ぽい大陸、それもいつの時代かが分からないような設定だったはずが、物語の舞台が出過ぎることもなく、かと言って少し物足りないということもなく、キャラクターを邪魔せずに当たり前のように存在することは、中々難しいことなのではないのでしょうか。

そして、凄みを感じるのは戦闘シーンです。

僕なんかは連載スタート時点から読んでいるネイティブ世代なので慣れ過ぎてしまって、最近まで気付かなかったんですが、とにかく戦闘シーンが分かりやすいと思います。

なぜ、こんなことを感じ始めたかと言うと、やはり最近の作品の特に戦闘シーンの”何やってるか、何が起こっているかが分からない自己満足描写”を非常に多く感じる点です。

登場人物がどういう動きをしているのかを、当たり前に、直感的に理解させるということが実は難しいということは非常に難しいことであり、なぜ、最近のヒットマンガの多くにどうも賛同できないところはこのあたりにあるように感じるわけです。

すべてではありませんが、最近の作品の悪い点はこのように読み手にある程度の理解が必要な点なのでしょう。

鳥山明先生の「ドラゴンボール」や藤原カムイ先生の「雷火」なんかは昔からやっぱり好きな作品だったんですが、具体的になぜ面白いと感じていたのか、その要因の一つはこの部分にあったことが最近分かりました。

シンプルな内容で成立していることの凄み

最後にあらためて「鉄拳チンミ」を自分なりに分析してみたのですが、とにかく色々な意味でシンプルな作品だと思います。

最近の若い子たちからすると、ストーリーに捻りがあるわけではなく、ただ目の前の敵をぶん殴って倒すというストーリーなので薄味に感じるかもしれないのですが、その裏にはそれでストーリーを成立させる絶妙な”絵の間”や違和感なくすんなり頭に入ってくる画力の高さがあってのことでしょう。

今まで誰も描いたことがないような作品を作り出すことはマンガ家さんやそれを夢見るマンガ家の卵たちの夢でしょうが、まずはこういったシンプルなストーリーをシンプルな絵柄でいかに読ませるようにするか、このあたりが成功するためのポイントであるように感じました。

また、マンガ家さんに限ったことではなく、編集者や出版社もいかにこういったシンプルな王道を作ることも忘れないようにしてもらいたいですね。

あとは早く「鉄拳チンミ」が月刊少年マガジンに帰ってきてもらいたいですね。

あと前川たけし先生のもう一つの名作「ブレイクショット」もリメイクしてもらいたいんですが、変な作品をアニメかするぐらいなら、この両作は打ってつけだと思うんですけどねぇ。

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