岸本斉史の最新作「サムライ8 八丸伝」が連載スタート!

サムライ8

「NARUTO」の”岸影”様が原作者として週刊少年ジャンプに帰ってきた!

大ヒットマンガ「NARUTO」から約5年

岸本斉史先生の新連載「サムライ8 八丸伝」が週刊少年ジャンプ(集英社)でスタートしました。

もし僕が週刊少年ジャンプの歴代掲載作品の中でランキングを作った場合、2014年までで連載されていた「NARUTO ‐ナルト‐」(作:岸本斉史)は恐らくトップ10に入れるとは思いますが、恐らく多くの方に異論はないことでしょう。

魅力的なキャラ設定や世界観とともに、ひとたびアクションシーンになればまるで映画やアニメのカメラワークを思わせるコマ割りなど、圧倒的かつ魅せる画力で一時代を築いたマンガであり、人気と実力を兼ね備えたマンガでした。

かつて同誌で連載されていた「ドラゴンボール」の鳥山明先生に多くの影響を受けた作品であろうことは容易に想像できましたが、模倣やオマージュという表現を超えてうまく作者の中で消化されて表現されていたこともあり、連載当時は唯一無二の”もっともジャンプらしい”作品だったと思います。

鳥山明先生がのちに多くのマンガ家達に影響を与えたように、岸本斉史先生も現在多くの若手マンガ家やそれを目指す若者たちにとっては神のごとき存在でしょう。

また、今は日本のマンガが世界中で読まれているような時代なので、その影響力は思った以上に海外の人達にも影響を与え、数十年後の世界的トップクリエーターから岸本先生の名前が挙がる日もくることでしょう。

原作者として再始動

さてその岸本斉史先生ですが、2014年に「NARUTO」の連載を終了したあと、その動向は大いに注目されましたが、2016年に「NARUTO」のスピンオフ作品「BORUTO」の連載がスタートしたものの、この作品に関してはあくまで原作・監修という立ち位置であり、扱いとしてはアニメや”公式的な”同人誌に近い感じでした。

”岸本テイスト”が完全に薄まった「BORUTO」に関しては正直個人的に違和感しか感じなかったのですが、今回の週刊少年ジャンプ第24号(2019年5月13日(月)発売)から連載が開始された「サムライ8 八丸伝」は岸本斉史の名前が正式にクレジットされて発表された作品となります。

ストーリーと作画のすべてを担当していた前作とは違い、今回は原作という点が気になる方が多いとは思いますが、いよいよ始まった”岸本作品”がどのような作品だったのか取り上げてみながら感想を書いてみたいと思います。

(画像引用:週刊少年ジャンプ公式サイト「サムライ8 八丸伝」より)

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「サムライ8 八丸伝」とは

【連載開始記念】『サムライ8 八丸伝』スペシャルPV

2019年週刊少年ジャンプ第24号から連載がスタートしたSFアクションマンガとなります。

原作は「NARUTO ‐ナルト‐」で一世を風靡した岸本斉史(きしもとまさし)先生、作画は同作品でアシスタントを担当していた大久保彰(おおくぼあきら)先生となります。

あらすじ

とある惑星。

侍にあこがれる主人公の八丸(はちまる)はネットのどこからか探してきたVR型のサムライが戦うゲームを楽しんでいました。

父親と犬型のロボット(ペットホルダー)である早太郎と暮らす八丸でしたが、彼は身体的なハンデを抱えており、父親が作った生命維持装置がなければ三分以内に死んでしまいます。

ある日、それを不憫に思う父親はお金を貯めて、丈夫な身体で生活するためのキーとなるロッカーボールを買うために、野武士の頭領を訪ねます。

その野武士は侍としての身体を持つ人物でしたが、彼はロッカーボールを買いに来た父親が探して刀を持っていることを知ります。

そんな事情もあり、父親は野武士につかまってしまい、野武士は刀がある家に向かうことになりますが、この少し前、家ではペットホルダーの早太郎がダルマのようなものを拾ってきます。

そのダルマの片目に印を入れ父親の無事を祈った八丸ですが、そうすると、なんとダルマの中から猫型のロボット侍”ダルマ(達麻)”が登場します。

最初はその胡散臭い風貌や話し方に訝しく感じていた八丸でしたが、猫侍である達麻の剣の腕を知り、心酔して”師匠”と呼びながら、侍とは何たるかを聞きます。

そんな時、父親をともなった野武士の頭領が現れます。

応戦する達麻でしたが、父親を人質に取られているため敗れてしまい、ペットの早太郎もやられてしまいます。

父親の命を助けるために自らの身体に隠された刀を取り出す八丸でしたが、刀も奪われその命も尽きようとしたとき、突如ロッカーボールが八丸に反応し彼と同化を始めます。

鍵を脊椎のようにして身体を再構成された八丸でしたが、サイボーグ化されたことによりそれまで病弱であった身体が嘘のように、精悍な身体へと生まれ変わります。同時に早太郎も再構成されます。

そのロッカーボールによりサイボーグ化された人間こそ、その世界の侍だったのですが、それは八郎がゲーム内でプレイしたキャラクターと同じものでした。

侍となった八郎は同じくサイボーグ化していた野武士を見事倒します。

宇宙を救う七つの鍵の力を得て侍となった八郎でしたが、達麻の狙いも自らの師匠に託された七つの鍵を集めることであり、彼らの旅が始まろうとします。

と、いった感じのお話です。僕なりにネタバレを極力抑えつつ、記憶をたどりながらまとめてみました。

間違いなく岸本斉史作品そのもの

ここからが感想となります。

さぁ、いよいよ始まりました岸本先生の新連載「サムライ8 八丸」(以下:サムライ8)ですが、新連載の発表時に心配&落胆させたのは何と言っても、”岸本先生は原作のみ”という点だった点でしょう。

”僕も何だ原作か・・・”

と喜びもつかの間落胆したもんですが、出来上がりは思いのほかよかったと思います。

岸本先生の作品関連で言えば、現在も月イチで連載されている「NARUTO」のスピンオフ作品である「BORUTO」がありますが、あちらは正直なところ、原作の良さを活かせずにキャラクターだけ借りてアニメのオリジナルストーリーのようなものという印象があります。

岸本先生も監修しているので、当然公的(パブリック)な作品にはなるのですが、あくまで海賊版ではないだけで「NARUTO」であって「NARUTO」ではないというのが個人的な感想です。

ファン心理としては正統な後継作品とは認められる内容ではないと思います。あくまで親戚みたいなものといった感じでしょうか。

なぜこう感じるのかは、読んでいる人は感じているとは思いますが、やはり岸本作品にあった忍者ものとしてのワクワク感や登場するキャラクターに魅力が感じない、原作キャラクターへのリスペクトがないなど要はワクワク感がありません。

結局キャラクターを借りているだけという印象なので”岸本色”が皆無なわけです。

対して、今回始まった「サムライ8」ですが、作画こそ元アシスタントの大久保彰先生が担当しているものの、作画から伝わってくる雰囲気は「NARUTO」そのものです。

キャラクターや設定、ストーリーは新作なので当然まったくの別物なのですが、キャラクターや設定、サイボーグなどのギミックの描写や使役するペットなどの変貌ぶりなどから伝わるワクワク感はタップリであり、

”コレコレ、コレを待っていた!”

と感じた”岸影”ファンや”週刊少年ジャンプ”ファンの人は多いでしょう。

「BORUTO」が原作のような忍術バトルが少なく、何となく薄っぺらいので余計にそう感じてしまいます。

今回はどうも公開されている新連載の特設サイトによると岸本先生がコマワリからしっかりとネームから携わって作っているので当然と言えば当然かもしれません。

これぞ大ヒット作品を生みだしたマンガ家という内容ですし、魅力的な第一話でした。

作画は”ナルト”ぽいが少し見辛い。でも上手い!

そして気になる作画ですが、絵は「NARUTO」でアシスタントを務めていた大久保先生だけあって、ストーリーにマッチしていると思います。

”岸本流”のストーリーに適した絵柄だと思います。

しかしながら、第一話を見たネットユーザーからよく指摘されているように、

画面が見辛く、何をやっているか分かりづらい

この意見に関しては僕も同感です。

今回は岸本先生がネーム段階でコマワリまで決めているようなので、それこそそのまま実写(実線)化しているんでしょうが、細かい描写をし過ぎているというか、少し描き過ぎているような印象を受け、かなりゴチャゴチャしているという印象を受けます。

だから人物と背景、風や煙みたいなものがどうも平面的に重なってしまい、”岸本作品”の持ち味とも言うべき映画のような独特のカメラワークを殺しているという感じも受けますね。

この部分に関しては「BORUTO」のほうが画面は見やすいのですが、もうちょっと引き算をして欲しいというのは見ていてまず思った感想です。

分かりやすく言うと「ONE PIECE」のようなゴチャゴチャした絵面になっています。

ただ、この部分に関しては新連載ということや、おそらく初めての週刊少年ジャンプでの連載ということで気合が入り過ぎたということもあるでしょうから、おそらく改善されていくのではないのでしょうか。

慣れてくれば「NARUTO」に寄せることなく持ち味を発揮してくるでしょうし、一発目の連載で多少の絵面のゴチャゴチャ感はあるものの、ここまで違和感なくアクションを描き切れていることはよく考えればものすごい作画力であると言えますね。

この部分に関しては今後期待大ですし、もしかしたら現在の連載陣と比べてもトップレベルではありますね。

とにかく見やすい画にするというのはポイントでしょう。

看板作品になり得るが・・・

最後に今後のこの作品について考えてみたいと思いますが、今回は侍が主人公、舞台が宇宙ということで新たなワクワク感を感じさせてくれます。

ただ、かなり長めのページを使った初回を読んだあと、次がどうしても読みたいかというと、正直なところまだ経過観察かな?という感じはしますね。

今回はかなり長めのページを使って書かれたため、読むのに比較的体力を使う内容でしたが、”平均以上の出来で面白かった”、”他の連載作品より魅力的”とは思った反面、

これ、読み切りでもよくね?

と思ってしまったんですよね。

これからの展開次第というエクスキューズは入るんですが、今回は主人公が忍者から侍に変わって七つの鍵を探す。

主人公は意味ありげな”八”がついているというのがテンプレートどおり過ぎる感じもするんですよね。

僕は前々から今のジャンプにはもっと王道系作品を用意すべきとは言っているので、正しくその通りの作品がはじまったのはうれしいんですが、”あの”岸本斉史が関わった作品となるとどうしてもハードルが上がってしまうのが、少し難しいところなんですよね。

しかしながら、現在の週刊少年ジャンプの連載ラインナップを見ていると、読者アンケートで間違いなく上位に入ってくるでしょうし、あとは圧倒的な差を見せつけて欲しいところですね。

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