「約束のネバーランド」は果たして面白いのか?

約束のネバーランド

「この漫画がスゴイ!2018」オトコ編 1位獲得

毎年年末になると様々な賞レースが開催されていたり、その分野の集大成となるイベントが開催されていたりしますが、漫画界でも毎年恒例となっているイベントがあります。それが宝島社による「このマンガがおもしろい!」の発表です。

今年のオトコ編(少年マンガ)部門の1位として発表されたのは、現在週刊少年ジャンプ(集英社)で連載中の「約束のネバーランド」でした。

過去の記事(「このマンガがすごい!」と「マンガ大賞」について調べてみた)ではこの二つの漫画賞(のようなもの)がどんな賞なのか調べて書きましたが、今回は週刊少年ジャンプで連載中のよく知っているマンガが選ばれたということで、このマンガが1位に足るマンガなのか、個人的な感想(ここ重要w)を書いてみたいと思います。

(画像引用:集英社「週刊少年ジャンプ」公式サイト「約束のネバーランド」より)



「約束のネバーランド」とは

2016年の週刊少年ジャンプ第35号から連載されているマンガ作品となります。原作は白井カイウ(しらい かいう)、作画は出水ぽすか(でみず ぽすか・1988年生まれ、その他不詳)による共同作品です。

原作の白井先生は会社員時代に集英社に300ページ近いネームを持ち込み、マンガ原作者としてのきっかけをつかみ、出水先生は以前はコロコロコミック(小学館)などで連載を行っていたマンガ家だそうです。

あらすじ

いつもながら僕の言葉で説明させてもらいますと・・・

時は2045年頃、とある森の中にある孤児院には6歳から11歳になる子供たちが集められ、その中ではシスター(修道女)によるしっかりとした教育と定期的な知能テストのようなものが行われていました。

その中でしっかりと育てられた子供たちは12歳になるか、それまでに里親にもらわれていくなどしていましたが、主人公であり運動神経抜群で基本的な知能も高いエマ(女の子)は仲が良く同い年(11歳)のノーマンやレイとともに、何不自由なく天真爛漫に孤児院生活を送っていました。

ただ、この孤児院には12歳になると里親に出されることの他にルールが存在し、それは外の世界につながる門に近づいてはいけないことと、森の外につながる柵を越えてはいけないことでした。

しかしある時、エマは里親が見つかり外の世界に出ることになったコニーが、大事にしていたぬいぐるみを孤児院に忘れていたのを見つけ、ノーマンとともに門に届けてようとしました。

するとそこで見つけたのは里親に出されるはずだったコニーの死体と、それを餌と呼ぶ鬼の存在、そしてそれを手引きしている”ママ”と慕っているシスターのイザベラだったわけです。

鬼やシスターとの会話から、エマとノーマンはみなしごを育てて里親としてしっかり送り出していると思われた孤児院が、実は鬼の食料を飼育するための農園だったことを知ります。

といったお話です。

”つまらなくはない”が、特に印象に残る作品ではない

さて、ここからが僕の「約束のネバーランド」についての感想を書いていきますが、ネットの某掲示板なんかではこの作品を勝算している人達も結構いるので怖いところです(笑)が、内容は

フツーです。。。

いや、語弊のないように言うと、そこそこ面白いとは思うんですよ。絵は特徴的ですが、登場人物が何をやっているかも分かりやすく、作画を担当されている出水先生なんかのイラスト集を見ても非常に才能がある方だと思いますし、この作品はただストーリーに合せて作画しているんだろうなぁというのも分かります。

またストーリーに関しても大枠がしっかりとした中で話を進めながら、小さな駆け引きが進んで行き、非常に見ごたえがあります。面白いという意見も十分理解できるわけですよ。

面白いかつまらないかの二択で言えばおもしろいんですが、

そこまで絶賛されるほどの作品か?というと微妙

な感じがするわけなんですよね。

凡作ではないと思うんですが、ランキング形式で1位にするほどのマンガかというと”正直これだったら他にもあるんでない?”と思ってしまうわけです。

「このマンガがすごい!」のランキングが最近おかしい

以前の記事(「このマンガがすごい!」と「マンガ大賞」について調べてみた)でも書きましたが、「このマンガすごい!」ですが、正直なところ最近ランキングの内容について共感ができないものが多く含まれているような気がします。

元々宝島社からこの企画で本が出された当初はマンガ好きなら当然知っているけど、世間一般にはあまり知られていないマイナー雑誌の作品なんかが取り上げられており、未読の作品の発掘には助かり、掘り出し物も多く見つけた記憶があります。

ただ、最近は昨年の「中間管理録トネガワ」(分かりやすく言うとあの「カイジ」のスピンオフです)が1位だったり、かつては「ハチワンダイバー」や「聖☆おにいさん」が1位だったり、ファンの方には申し訳ないですが、”何でコレ?”というのがたまにあるんですよね。

それらに比べるとこの「約束のネバーランド」は作品の質としては十分上だとは思うんですが、何と言うかマンガ好きの大部分の人が納得するかというとおかしな選考が多いような気がします。

かつては攻めた企画やちょっと買ってみようかなと思わせる企画本を作っていた宝島社ですが、最近は週刊少年ジャンプなんかと同様、編集者のクオリティが下がっているのでしょうか。

「約束のネバーランド」のここが気に入らない

さて最後はこの作品にエールを込めて、こうしたほうがよかったなという、僕なりの意見を書いていきたいと思います。

週刊少年ジャンプの作品にしては少し地味

まず、この「約束のネバーランド」ですが、王道作品ではなく駆け引きなどを描いた頭脳系の作品です。今までの週刊少年ジャンプの系譜から言うと、ちょっとどころか大分異色の作品になります。

また、子供が主人公であり、鬼のフォルムデザインが少し甘く「HUNTER×HUNTER」や「ワールドトリガー」なんかの頭脳バトルが根幹にありつつSF要素も盛りだくさんの作品と比べると、やっぱりスケール感で劣ります。

何と言うか少年誌やマンガ誌で求められるワクワクとドキドキが両立していないんですよね。そう考えると絵柄を変えてヤングジャンプやSQ(スクウェア)あたりで連載していたほうがよかったと思います。(個人的にはページ数が多いほうが読みごたえがあると思うのでスクウェアにしとくべきだったかなと思いますね)

世界観が何となくこじんまりしている

現在このマンガは孤児院から脱出して鬼から逃げている状態なんですが、まだ詳細は分かっていないものの、捕食者であるはずの鬼が何となく世界感にハマりません。

一見現実世界をベースしているような雰囲気なんですが、物語のキーであるはずの鬼がどこか異物感タップリで違和感が大きいですね。だからこいつらと駆け引きなんかをしていてもスンナリ話が入ってこないし、なんというか「名探偵コナン」のように、考えられたトリックや物語的しかけ、伏線の回収をしても、所詮子供が頭脳バトルをして自己満足に浸っているようで、マンガの肝である”そう来たか!”とか”次どうなるの!?”といったのが感じられないんですよね。

これは例えばヤングジャンプの”嘘喰い”なんかでも感じるんですが、設定はよく考えられているし、関心はするんですよ、でも何だか押しつけがましくて”とっとと話を進めんかい!”という印象を受けるんですよね。

もっと分かりやすく言うと「M-1」グランプリなんかでもよくある、”漫才としては多分よくできているんだろうけど別のコンビのほうが面白い”という感覚に近いのでしょうか。

それに近い感覚をこの作品には感じます。

魅力的な敵キャラクターがいない

マンガネタになるといつも書いていることですが、作品としての面白さは魅力的であり、存在感のあるキャラクターがいてこそ主人公が光りますが、この作品はこの部分が少し弱く感じます。

話としては自分たちで問題解決をしていくスタイルの作品なんですが、これだと内面描写による一部の読者の主人公の同化はできても、ライト層には少し受け入れられにくいような感じがします。

このあたりが絶賛派と凡作派に分かれる原因だとは思うんですが、物語としてはもっと敵がどんな存在なのかをはっきりさせながら、主人公はどういった着地点を目指しているのかを示してもらったほうが、もっと読みごたえは出てくると思います。

現在のストーリー展開だとただ孤児院からなんとなく逃げているだけで、どこに向かっているのかが分かりづらく、映画の「CUBE」みたいな感じなんですが、連載作品ということを考えるとこのあたりのゴールは示しておいたほうが得策に感じます。

まとめ

以上この記事を書くにあたり改めて「約束のネバーランド」を読み返してはみましたが、全体的な印象としてはマイナス面は少ないけど、何となく足りないなという要素を沢山感じました。

もちろん文中にも書いたようにマンガとしての偏差値は高いとは思うんですが、少しまとまり過ぎているので、初めてこのマンガを手に取った人がパラパラーと捲っていきながらも手を止めてしまうぐらいのアクの強さがもうちょっと欲しいところですね。

何が書きたいのかもうちょっと大きなテーマを示してほしかった作品です。

読んだことない人は十分楽しめるとは思いますが、退屈に感じる方も多いかもしれない作品です。