マンガ大賞2019大賞作品「彼方のアストラ」がどうもあまり受けつけない 件

彼方のアストラ

ジャンプ+(プラス)の「彼方のアストラ」が大賞受賞

毎年マンガ関連の表彰が行われていますが、今回は少し前になりますが三月に発表されたマンガ大賞2019で大賞となった「彼方のアストラ」について取り上げてみたいと思います。

この”マンガ大賞”ですが、その年(今回で言えば2018年のうち)に発行されたマンガのうち、最大巻数が8巻以下の作品が対象となるので、作者やその作品が掲載されている雑誌のファン以外の読者には中々知られていない作品も多く、掘り出しものを見つけるために注目しているマンガ好きの方も多いでしょう。

今年は少年ジャンプ+(プラス)という集英社が運営するウェブサイト(アプリ)で連載されていた「彼方のアストラ(かなたのあすとら)」(作:篠原健太)が対象を受賞し、史上初のウェブマンガが大賞となりました。

実はこの作品、僕もリアルタイムで読んでいた作品なんですが、発表時にTwitter上などでは祝福や賞賛のリツイートが多数行われ、マンガ系ブログを運営されている方で取り上げていた方も結構いらっしゃったような気がします。

しかしながら、僕はこじらせた天邪鬼というわけではないんですが、この作品の大賞受賞を聞いてまず思ったのが、

え!なんでコレ?

マンガ大賞に別に恨みがあるわけではなく、マンガ大賞2017(2016年の掲載作品)大賞作品である「響~小説家になる方法~」なんかは、大賞に選ばれて改めて読みなおしてみたらビックリするぐらい面白くて感心したぐらいなんですが、失礼ながら

どうも今回だけは納得がいかん

ということで、なぜそう思ったのか個人的な分析と感想を述べながら書いていきたいと思います。

(画像引用:少年ジャンプ+「彼方のアストラ」(集英社)より)

スポンサーリンク


「彼方のアストラ」とは

「彼方のアストラ」とは2016年5月から2017年12月まで集英社のWEB配信サイト「少年ジャンプ+(プラス)」で連載されていた作品となります。

原作および作画はかつて週刊少年ジャンプ連載され人気作品だった「SKET DANCE」(2007年~2013年、全32巻)を描いていた篠原健太先生です。

あらすじ

西暦2063年、ケアード高校のカナタ・ホシジマ達は他の同級生達とともに、計9名で学生だけで五日間を過ごす惑星キャンプのため、惑星マクパを訪れます。

無作為に選ばれたB5班の9名(実際は8名とその妹が1人)でしたが、惑星に着いて早々に謎の球体に襲撃を受けます。

謎の場所に転送された彼らでしたが、気が付くとそこは宇宙空間で、近くには謎の宇宙船が止まっていました。

しょうがなく宇宙船に乗りこむことになりますが、その宇宙船で座標を調べてみるとそこは当初いた惑星マクパから5012光年も離れた”宇宙の彼方”だったのです。

宇宙船に残された食料も三日分しかないため、宇宙船をアストラと名付け近くの星を目指す彼らでしたが、実はこの9人は偶然ではなく、ある思惑によって集められたのでした。

はたして彼らは無事故郷に帰れるのか、またなぜ彼らはとてつもなく遠い場所に飛ばされたのか、そして9人の中に誰かに感じる不穏な動き・・・、という高校生たちのスペースサバイバルミステリーとなります。

アニメ

2019年の7月より放送開始予定です。もすぐですね。

面白いという意見も理解できるが、個人的には平凡な作品

さて、ここからこのこの「彼方のアストラ」の感想や分析を書いていきたいと思います。

正直なところ、今回は絶賛している人も多いので少し躊躇する部分はあったんですが、とにかく名のある賞(マンガ大賞2019の大賞)を取ってしまったので、これから読もうと思っている人向けに、どうにも内容のわりに褒めている人が多すぎるので、

それじゃいかんだろ!

ということで、参考にしてもらうための個人的な感想を書きます。

まず作品の中身に触れる前に断っておきますが、ダメな作品ではないと思います。駄作とは思いません。

ただですね、マンガ大賞の大賞になるほどの作品か、はたまた面白いので人に薦めたいかというとやっぱり”コレじゃない”感のある作品なんですよ。

人に薦めるのであればある程度汎用的というか、誰が読んでも面白いラインというものがあるとは思うんですが、正直なところ10人が読んで10人が面白いとまではいかなくても、通常面白いという作品であれば10人のうち5人しか面白い人がいなくても、残りの5人は特につまらないとも特別好きだとは感じないものの、とりあえずは読んでいる作品というタイプが多いと思います。

かつての「ジョジョの奇妙な冒険」なんかはポジション的にはこういったタイプの作品でした。

ところがこの作品はどうかというと5人は大絶賛しても3人ぐらいはつまらないと感じて全く読まない人も出てきそうな作品なんですよね。

僕の感覚的には「銀魂」や「ゴールデンカムイ」なんかが少し近い感じがするのですが、場合によっては読んでいてまったく世界観に入り込めない類の作品に感じるわけです。

だから例えば映画のアカデミー賞で作品賞を取っている作品だとどれもほぼ間違いなく面白い、もしくは見ごたえがある作品だとは思うんですが、今回の「彼方のアストラ」はマンガ大賞を取っているかと言って期待して読むと、思わぬ肩透かしを喰らう可能性があることを肝に銘じてほしいわけです。

もちろんハマる人もいるとは思いますが、僕のように”ナゼこれ?”こう感じる人もいるでしょう。

ご都合主義な展開

なぜ、僕がそんなにハマれなかったのか考えていきたいと思いますが、まずは展開が少しチープ過ぎたのも原因にあるような感じがします。

この作品を褒めている人には絶妙な伏線やその伏線回収、映画的なシリアスな展開を挙げられている方も多いのですが、そこに至るまでの流れが不自然過ぎてまずストーリーに入っていくことができません。

マンガだから仕方がないという見方や意見も納得なのですが、冒頭の惑星キャンプの集合シーンからしても同じ学校なのに面識がないのが、触れられてはいませんがおかしいですよね。

また、取ってつけたような主人公の登場シーン(空港でひったくりを捕まえます)などが少し古臭いというかわざとらしく、違和感タップリに物語が始まります。

惑星に行って突然謎の球体が現れるシーンもそうなんですが、女の子が躊躇なく触りに行くなっど、今後の展開などを考えると、さすがに危機感ゼロ過ぎる気がするわけです。

言うなればハリウッド映画の超大作にありそうな、登場人物たちの謎の行動パターンの連続だらけという感じなので、どうしても感情移入しにくく傍観的に物語を見せられていく展開になるわけです。

映画を意識?も絵がマッチしていない

そして登場人物の行動パターンが謎過ぎるという部分もありますが、例えば上で挙げたようにハリウッド映画のSF超大作がご都合主義で、穿った見方をすると笑うしかない展開だとしても、そのあたりを圧倒的な映像力や役者の演技・個性などで徐々に作品に引き寄せてくれます。

しかしながらこの作品の致命的な部分として、絵柄やキャラクターが軽いのでどうしてもこの魅せるという部分が不足しています。

このあたりはページ数の制限もあるので思い通りのコマ割りに出来なかった部分はあると思いますが、どうしてもシリアスな設定・展開に役者とセットがついてきておらず、違和感を引きずる結果になっているように感じます。

わかりやすく言うとB級映画なんですよね。

だから「スターシップトゥルーパーズ」のようにB級映画と分かっていて見ると、”お、意外と面白いじゃん!”と感じるはずなんですが、何の予備知識ももたずにハリウッド映画の超大作だと思ってお金を払って映画館で見ると”金返せ!”となりそうな感じがするわけです。

よって、最初からハードルを下げて読め!というのもおかしな話ということになります。

必要のないギャグパート

この作品は先ほどから書いているように、十二分に映画などを意識したような設定と展開で話が進みますが、時折ギャグを入れ込んでいます。

しかしながら当然ハリウッド映画ではないので、”クスリ”という感じではなく、予想の斜め上をいくようなところから笑いを取りに来る場面があります。

作者が元々「SKET DANCE」というギャグを絡めた作品を書いていたので、このあたりは得意なところなんでしょうが、正直なところ

笑えません(真顔)

まぁ、このあたりは僕が「SKET DANCE」という作品自体が合わなかったというところもあるんですが、この作者は「銀魂」と同じようにどこかにある元ネタをアレンジしてそれを笑いに変えていくタイプなので、登場人物のキャラクターを活かした笑いではないため、人によっては寒いと感じるはずです。

こういうのは「3月のライオン」みたいな少女マンガ出身の人は得意なところではあるとは思うんですが、シリアスをギャグでぶった切っているような展開であり、僕個人としてはストーリー上は異物にしか感じませんでしたね。

どうせならシリアス一辺倒のほうが良かったと思います。

読者層がコア化している?

最後になぜこの作品が選ばれたのか自分的に納得はできないところなんですが、ある程度票数を集めたということは評価した人がたくさんいるということだと思います。

これは紛れもない事実だと思います。

ただ、最近のマンガ関係の賞を見ていると、マンガ家の先生が選んだような作品はしっかりとした作品が選ばれているように感じるものの、一般読者、マスコミが選ぶような作品は選考結果が疑問に感じるような作品が多く見られるようになってきました。

この部分に関しては僕が年をとったせいもあるかもしれませんが、こういった作品達が十年経っても名前が挙がるよう作品かというと甚だ疑問なわけです。

最近はマンガ雑誌の売り上げがさがっており、マンガ離れも進みつつあるといわれますが、どうしても一部のマニアたちがアンケートに積極的に参加している印象が強く、サイレントマジョリティーを無視しているので週刊少年ジャンプはどんどんつまらなくなっているのではないのでしょうか。

マニアの意見に合わせた作品の掲載や展開も雑誌の方向性としては間違っていないとは思いますが、出版社にはマニアックではなく、昔のように10人読んだら10人が面白いと感じる作品をもっと増やす努力をしてもらいたいですし、マンガ離れを進めて、コアなファンだけが残るようなマンガの賞にはしてほしくないと思います。

アニメ・映画にすると、面白くなるはず

あまりにもけなしまくってしまったので少しだけフォローしておくと、設定などプロットの部分に関してはしっかりと作られている作品だと思います。

だからこういったタイプの作品は進撃の巨人などと同じように、しっかりとした絵面や動きがあれば良さがでてくる作品のはずです。

もしどうしても読むのであれば、あまりハードルをあげて読まないほうがいいとは思いますね。

また、映画好きな方は少しチープに感じると思うので僕と同じようにハマらないかもしれません。

関連記事