幕ノ内一歩引退決断から一転、復帰フラグが立ち始める
週刊少年マガジン(講談社)で連載されている「はじめの一歩」(森川ショージ原作)と言えば、僕が高校生のころから連載されているマンガであり、今や同誌でもおそらく最古参のマンガでしょう。
いじめられっ子の主人公幕ノ内一歩が鴨川ジムの看板ボクサー鷹村守に感化され、最初は何の才能もないと思われた一歩が、実はハードパンチャーであり、徐々にチャンピオンに向かって登りつめていく姿は面白く、このマンガの虜(とりこ)になった男性読者はたくさんいることでしょう。
さて、そんな「一歩」ですが、先月のお話では復帰戦で新型デンプシーロールをひっさげて挑むもまさかの敗戦を喫し、これまでの蓄積されたダメージなどを考慮して一歩は自ら引退することをジムの会長であり師匠である鴨川会長に告げます。
僕個人としても復帰戦に敗れたことは衝撃でしたし、それこそまさかの展開でしたが、さらに引退するというのは想定外で、ネットなどのメディアではかなり話題となりました。
すでにマンネリが叫ばれているこのマンガにとっては一大イベントになったわけですが、今後トレーナーになって第二の一歩を育てるのか、はたまた連載が終了してしまうのか気になった方も多かったと思います。
しかし先週、今週あたりから復帰という二文字が作品の中にちらつき始め、ファンの間では微妙な空気が漂い始めています。
(画像引用:講談社マガメガ「はじめの一歩」より)
Contents
はじめの一歩とは
講談社の週刊少年マガジンで1989年から連載されている森川ショージ原作のボクシング漫画となり、コミックスはすでに100巻以上が刊行され、アニメ化だけでなくゲーム化なども頻繁に行われ、10代から50代の男性まで広い世代に楽しまれてきたマンガとなります。
あらすじ
いじめられっ子で大人しい性格の幕ノ内一歩は何の取り柄もない大人しい男の子でしたが、ある日鴨川ジムのプロボクサー鷹村守に出会ったことがきっかけでボクシングジムに入門します。
そこにはすでに同い年であり将来を嘱望されたエリートボクサー宮田一郎が在籍していましたが、スパーリングでボクシングを始めたばかりの素人の一歩にKO負けをしてしまいます。
全くボクサーとしては期待されていなかった一歩ですが、実家で営む釣り船屋で鍛えられた下半身とボクサー向きの拳、そして真面目で愚鈍とも言える性格が功をそうし、それこそ一歩づつ亀のように成長し、プロボクサーとしての階段を登っていくというお話です。
引退宣言の経緯
ちょっとネタバレにはなってしまいますが、最近「一歩」を読んでいない、コミックスでしか読んでいない、話を忘れた方のために今回の経緯を少しだけ振り返ってみたいと思います。
王者リカルド・マルチネスを目指すも前哨戦でKO負け
まず一歩が所属するフェザー級には絶対王者であるメキシコ人のリカルド・マルチネスという世界チャンピオンが存在します。
日本王者として何度か防衛した一歩も、当然先輩でありすでに世界王者である鷹村に引き続き世界を意識し始めますが、世界王者に挑むための前哨戦として世界ランキング2位でありマルチネスと同じメキシコ人のアルフレド・ゴンザレスに挑みますが、善戦虚しく敗れてしまいます。
新型デンプシーロールをひっさげて復帰戦に挑むもまさかの連敗
この敗戦でかつての日本王者伊達英二以来の敗戦となった一歩ですが、元々の武器であり代名詞であったデンプシーロールを進化させ復帰戦に挑みます。
それがフィリピン王者であり19歳の若手アントニオ・ゲバラだったわけですが、序盤から一歩は圧倒し、見事復帰戦を飾ると思われましたが、新型デンプシーロールを発動しようとしたものの仕留めきれず逆に反撃を受けます。
かつての一歩と言えば、世界でも最高レベルのハードパンチを持っている上に、タフさを売りにしてきたわけですが、これまでのダメージの蓄積の影響なのか、これまでにないような打たれ弱さを見せてしまい、最後は鴨川会長の無念のタオル投入により敗れてしまいます。
パンチドランカーの疑いとケジメの引退
元々作中では一歩がパンチドランカーなのではないかという描写がありましたが、結局その疑いを晴らして戦いに挑みましたが、試合内容は無残なものでした。
これは試合での異変は観戦していた先輩鷹村やライバルの千堂も感じていたものですが、自分に起きている異常に一歩自身も気づいていたことや、世界を目指す上での勝負所での連敗ということでケジメをつけます。
引退という二文字は自ら考え、鴨川会長にその旨を直接伝え、プロボクサー幕ノ内一歩は幕を引きます。
そうなるはずでした・・・。
よくある閉店セール(詐欺)だった?
さてここから感想になりますが、まさしくよくある”閉店するぞ店じまいセール”の様相を呈してきた「はじめの一歩です」。
最近までインターネットなんかの意見を見ていると、マンネリに次ぐマンネリで、僕と同じく”とっとと終われ!”という意見も多かったのですが、今回の引退宣言により、こういった声は影を潜めて、概ね好意的な意見が多かったように思えます。
このまま連載終了するのではないかという意見や、トレーナーとして第二の一歩を育てるという意見、もしくは全く想像しないような展開が考えられましたが、先週、今週の回では、鴨川ジムの後輩である板垣の同期、今井が対戦したいボクサーは?と聞かれ、一歩の名前をあげたり、一歩を追いかけている女性記者がこの件で一歩を直撃しています。
引退発言の翌週から作品内ではどれぐらいの時間経過があったのか、語られてはなかったのですが、今回の展開から想像するとそれほど発言から時間が経っていないということが分かります。
読者の多くはこの時間経過の度合いにより今後どういった展開になるかある程度の想像は出来るだろうと思っていたでしょう。トレーナーになるのであれば、”一歩の引退から数年後”という描写が想像できたでしょうし、他にも全く時間軸をずらすという手法もあったと思います。
それが、まったく同じような時間の流れで話が展開しています。
一歩と言えば連載開始から三十年近くが経過したものの、ほとんど時間が経たないことで有名なマンガでしたが、今回もその流れを引き継いでいるような感じでした。
ネタバレになるのであまり詳しくは書きたくはありませんが、今週のお話により、もう一歩がプロボクサーとして戻ってくるしかないような展開しかないような描写です。
僕も含めて一歩引退という展開に好意的だったほとんどの読者はこう思ったでしょう
え、まだやるの・・・? もう終わってクレメンス
いやもう勘弁してくださいという感じです。
ほとんどの人間が惰性でしか読んでいない
本当にねぇ、「はじめの一歩」はもっときれいに終わってほしかったと思います。
それこそ途中までの試合描写の長さに飽き飽きしていた時期もありましたが、ほとんどの読者は、まぁこれも一歩ということで大目に見ていたとは思うんですよ。
いつまでたっても世界には挑戦しないし、ライバルの宮田とは一向に対戦しないし、それでもなお一歩が努力し、成長していく姿が心打ち読ませる部分はあったと思うんですが、それもいつか来る最後(引退)ありきだったはずです。
宮田との再戦もマンガであれば当然あり得る展開でも、現実世界を考えれば結局対戦せずに引退することはあるので、読んでいても許せる部分はると思います。
だから今回は”頑張ってきた一歩も力及ばず夢破れるのか”ということで一応の納得はできました。
それが今回のまさかの引退撤回臭。
まだ一歩がボクサーを続けるとは確定したわけではないんですが、ほんと、読んでいる人のほとんどは誰も一歩がボクシングする姿は望んでないと思うんですよね。
それこそ第二の一歩が出てきて、それを一歩が育てる姿を見るほうが読んでいてワクワクするとは思います。
結局この「はじめの一歩」というマンガは大いなるマンネリを持ち味としてはいたんですが、そろそろ読者は限界だと思います。
一歩はけじめをつけての引退だったはずですが、読者の我慢も今回の件で一旦切れたのは間違いないでしょう。スポーツ選手の一旦落ちたモチベーションを上げるのは大変ですが、読者の落ちたモチベーションは一体どうするつもりなのか、今回の展開は残念というよりも少し怒りが湧いてきます。
作者の森川ショージさんと編集部ではなにか軋轢があるという噂もありますが、そう言えばこういったお話は講談社ばかりに起きていますね。
マジ、「はじめの一歩」はもう終わってください。