わが青春の一作!おススメマンガ筆頭格
あまりこのサイトでは書いてないかもしれませんが、かつて僕は20代の頃に非常にマンガなどの本との距離が非常に近い仕事をしていました。
そのせいか一日10冊程度のコミックスは読んでいたような気がしますし、今になって計算してみると年間3,000~4,000冊のコミックスを読んでいたことになるのに加えて、それ以外にもメジャーな週刊や月刊のマンガ雑誌もほとんど買っていたので、とんでもない量の作品を読んでいたことになります。
当時は少年マンガのほとんどは網羅しており、それこそ読んだことんがない作品もほとんどなくなってきたので、ついには「花ゆめ」や「フラワー」など少女マンガの作品も面白いと聞けば手をだしていましたね。
だから、たまにこのサイトのコメント欄や記事に関するTwitterなどで、明らかに若い子たちから”ニワカ乙”とか”全然マンガのことが分かっていない”などと言われても、さほど響かないのは絶対的に読んでいる量が違うという自負があったりするせいです。(ただ元々炎上耐性はあるほうだと思います)
まぁ、たくさんのマンガ作品を読んだからといって自慢にもならないし、恥ずかしいことだとも思わないんですが、最近は当時に比べて圧倒的に読む機会が減ったといってもデータ量としては他の人より蓄積しているほうだと思います。
実際のところ僕は読むのが早い(大体コミック一冊当たり10分程度)ほうなので細部までの読み込みが甘かったり、つまらない作品はすぐ忘れるので、気軽に作品の感想を書いてたまにプチ炎上してしまうのは難点(笑)なわけですが、面白い作品はたくさん知っているつもりです。
それこそおススメのマンガ作品を薦めるマンガマイスターという職業があれば立候補したいぐらいなんですが、そんな僕が”好きな作品として三冊挙げろ”と言われたら間違いなく入れたいのが、今回取り上げる「BECK」(べっく)という作品です。
ある程度年齢が行ってて、マンガ好きなら間違いなく知っている作品なんでしょうが、ついにというか、満を持してこの「BECK」を記事にしていきたいと思います。
(画像引用:講談社コミックプラス「BECK」より)
Contents
マンガ「BECK」とは
「BECK」は1999年から2008年まで講談社の月刊少年マガジンで連載されていたハロルド作石先生原作の作品となります。
作者のハロルド作石先生と言えば、「ゴリラーマン」(週刊ヤングマガジン:講談社)や「ストッパー毒島」(同)ですでにヒットを飛ばしていたトップマンガ家の一人でしたが、少年誌(月刊少年マガジン)での連載はこの「BECK」が初めてでした。
当時「ストッパー毒島」も面白く、個人的には好きな作品の一つで期待していた(ただ世間的にはゴリラーマンのほうが認知されていたような気がする)のですが、今となってはハロルド作石=BECKといわれるほどの代表作ですね。
あらすじ
天才的なギターの才能を持つ南竜介はニューヨークからの帰国子女でしたが、日本帰国後はアメリカ時代の友人エディ・リーとの約束を果たすため、ロックスターを目指しバンド活動を行っていました。
しかしながら、バンドメンバーとは常に様々な衝突を起こし、その夢にはとどかないまま、日々の生活を行っていたところ、ある日見た目も雰囲気もすべて平凡を絵に描いたような中学生である主人公田中幸雄(通称:コユキ)に出会います。
お互いの第一印象は最悪で、これまで聞いたことなかった音楽を教えてもらった以外は、これといった接点はありませんでしたが、コユキは同じころ竜介の妹真帆とも出会います。
知る人ぞ知る天才ギター少年と何のとりえもないいたって平凡な中学生は決して交わることがないと思われましたが、自身も趣味で歌を歌っていた真帆は、偶然コユキの唯一無二の声と天才的な歌唱センスに気づきます。
竜介も真帆の勧めもあり、コユキの歌声を聞いてみたところそのセンスを認めますが、まだ竜介は最強のバンドを目指している途中の段階であり、当然同じ土俵に立てるはずがないわけですが、コユキは新たに見つけた音楽(ロック)の世界にはまり一歩一歩前を向いて努力していきます。
そして彼らの周りには徐々に一人一人仲間が集まり始め最強バンド「BECK」の物語が始まっていく
というお話です。
アニメ化
アニメ化は2004年に全26話で製作・放送が行われています。
テレビ東京系の放送だったようなので、エリア外ということもあり僕は見ていません。
映画化
2010年に実写映画化がされており、観客動員数は初登場1位。最終的に17.6億円の興行収入だったようですが、邦画としては十分成功の部類に入りますね。
個人的にはマンガのほうがやっぱりベストだとは思いますが、このマンガの良さをよく理解した上で作られており、よくできた内容だったと思います。
賛否両論あったコユキの歌唱シーンは僕もあれでよかったと思います。
主要キャスト
当時も中々豪華な布陣だと思いましたが、出演者のその後の活躍を考えると、かなり凄いメンバーが揃っていた感じがしますね。
- 田中幸雄(通称コユキ):佐藤健
- 南竜介(リュースケ):水嶋ヒロ
- 千葉恒美(千葉):桐谷健太
- 平義行(平くん):向井理
- 桜井裕志(サク):中村蒼
- 佐藤和緒(おばちゃん):松下由樹
- 蘭:中村獅童 他
友情、成長、挫折、成功、笑い、のすべてが詰まっている
さてここからが「BECK」の感想に入りたいと思いますが、冒頭にも書いたように、非常に大好きなマンガであり自分的マンガランキングのトップに入れてもいいような作品です。
実際のところ上位に順位はつけられないのですが、いままで引っ越しにともない様々なマンガを多数捨ててきた中、なんといまだに所持している数少ない作品です。(ちなみに他に捨てずに持っているのは「蒼天航路」と「おれはキャプテン」、横山光輝版「三国志」ぐらいです)
それぐらい思い入れは強いわけですが、好き過ぎていまだにこのブログでは取り上げてきませんでした。いきなり渾身のストレートは投げたくないですからね(笑)。
いよいよ決め球を持ってきたわけですが、全34巻何回読んでも面白いです。
僕がマンガを読む場合、結構さささっと読んだ後はちょっと面白いぐらいでは、しばらく読まなくて捨ててしまうんですが、本当に栄養たっぷりというか色々なものが詰まっているので、久々に読み返すと止まりません。
読みやすい絵柄がベースにあるのは大きいところなんですが、当初主人公のコユキは歌謡曲しか知らない中、どんどんロックの世界に興味をもちつつも、当然素人なのでプロのロックバンドどころの話ではありません。
そんな彼が、文化祭に向けて練習したりしていき、当然色々な邪魔が入り簡単にはいかない中頑張っていくのですが、最初は成長物語として話が進みます。
そんな時に同じバンドが好きな将来の親友サクとも出会うのですが、まわりに馬鹿にされつつも彼ら二人はめげずに頑張る友情物語が展開され、BECKの年長組は温かく彼らを見守るものの、当初は年長組と年少組が別軸で進んでいくなど、この物語には頑張る人と邪魔する人、それを陰ながら応援する人が常に存在し、それが最後まで続きます。
読者にとっては邪魔する人間へイラつきながら、主人公に対する同調をしていくわけですが、同時に彼らの才能を信じ、応援してくれる人間もいるので応援している気持ちにもさせてくれます。
このあたりの三すくみの構図がギャグの要素を時折織り交ぜながら展開されていき、バンドとして徐々に形になり、成長していく様が非常に気持ちいい流れを生みだしているのですが、バンドで演奏するシーンがメインでありながら常に見えない何かと戦っているという状況もムネアツにさせてくれる要素となります。
言葉足らずでもどかしいのですが、少年マンガとして必要で面白い要素がすべて詰まっているマンガと言えます。
マンガであることを最大限に活かした最高の音楽マンガ
これまでも音楽(ロック)を題材としたマンガや映画、ドラマは存在しましましたが、音楽を扱った映画やドラマの成功は、演技者の力量とともにそのサウンドトラックがどうしても生命線になってくるため、いくら音楽がよくてもドラマパートがよくてもサントラがクソだと全体が崩壊してしまいます。
また逆の場合だとただのミュージカル映画になってしまい、そのバランスをとるのが非常に難しいのですが、音楽は当然二次元では再現が不能なため、そこがプラスに働きやすくなっています。
何を言いたいかというと、テレビ番組やライブで口パクでありながら、魅力的なショーを見せるバンドやグループを作り出す場合、いかに印象的な演出ができるかがリアルな音楽の世界でもカギだと思いますし、アイドルやスターの作り方はこの部分が重要だと思います。
そういった音楽パートの描写がBECKは抜群に上手いため、最高の音楽マンガとして成立しているのですが、それに加えて映画やドラマ、アニメにとって最高の絵コンテでありうるマンガなので、ドラマパートと抜群の調和を見せているように感じます。
また、最近僕が他にお勧めしている「BLUE GIANT」も音楽のジャンルは違う(こちらはジャズ)ものの非常に迫力のライブシーンが展開されており、大好きな作品なんですが、「BECK」はドラマシーンでは時折ギャグをいれながら、恋愛や友情があったり、ライブシーンの中でもほとんどが”動”を描きながら、主人公コユキの歌唱シーンでは”圧巻の静”の描写で描かれるなど、そのチェンジオブペースに読んでいて”ゾクっ”とさせられ、「BLUE GIANT」にはない瞬間が存在します。
このように音楽とは非常に相性のいいマンガを最高の演出力と画力で描いているのが「BECK」なのですが、読んでいるときの高揚感や達成感、笑いなど総合点ではいまだに僕の中ではトップの作品です。
未見の方には是非ともお勧めしますし、映画好き音楽(ロック)好きの方には特にハマれる要素満載です。
個人的に一番笑ったシーンは”トニー・ジャー”のシーンなのですが、これが何なのかは作品内でお確かめください。