「アド・アストラ -スキピオとハンニバル-」:このマンガが面白い(12)

アド・アストラ

ウルトラジャンプ起死回生の作品となれるか

毎回僕が個人的に面白いと思ったマンガを勝手に紹介する、”このマンガが面白い”シリーズですが、いつもはメジャー系の連載誌のマンガが多いものの、今回は珍しくウルトラジャンプ(集英社)で連載中の「アド・アストラ -スキピオとハンニバル-」(作者:カガノミハチ)という作品です。

ウルトラジャンプと言えば、集英社の中でも後発系の月刊誌であり、マイナーな雑誌といってもいいと思いますが、僕もこの雑誌の存在そのものは知っているものの、コンビニなんかでもほとんどお目にかかれません。

実際、このマンガを知ったのも集英社のマンガアプリ「ジャンプ+(プラス)」で無料で読めたからなんですが、この記事を書くために改めてウルトラジャンプのことを調べて、現在のジョジョシリーズ(「ジョジョリオン」)が連載されているのを知ったぐらい僕もよく分からない雑誌です。

マンガのマニアの方たちからすれば、ウルトラジャンプのことをよく知らないといってしまうと鼻で笑われると思いますが、果たしてこの「アド・アストラ」がウルトラジャンプのブレイクのきっかけになれるのか注目していますし、少しでも世間に認知されるよう微力ながら今回の記事でご紹介させていただきたいと思います。

(画像引用:集英社「ウルトラジャンプ」公式サイトより)

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「アド・アストラ -スキピオとハンニバル-」とは

2011年よりウルトラジャンプ(集英社:1999年創刊で発行部数は約5万部)で連載中の作品で作者はカガノミハチ。このカガノミハチ先生というのはネットでざっと調べてみても男性という以外は詳細なデータは分かりませんでした。

あらすじ

紀元前219年から紀元前201年まで古代ローマ(共和政ローマ)と都市国家カルタゴとの間で起こった第二次ポエニ戦争を題材とした、ローマの武将スキピオとカルタゴの英雄ハンニバルの戦いを描く歴史漫画となります。

紀元前200年頃、地中海を中心とした地域の大部分の覇権を握っていたのはイタリア中部にあり歴史的大都市のローマでしたが、ある時アフリカのカルタゴ(現在のチュニジアあたり)に一人の英雄が現れます。

それが歴史的にも名高い戦略家ハンニバルなんですが、その戦略性の高さとリーダーシップによりローマに支配されていた各都市のローマからの解放を行っていき、ヨーロッパの支配の中心いたはずローマの統治体制を揺るがし始めます。

地中海の盟主であるローマもそのまま手をこまねいているわけではなく、物量作戦でこれに対しますが、戦争の天才ハンニバルの前に惨敗が続きます。

ローマの支配体制もこれまでかとなりますが、時代はもう一人の英雄をローマに誕生させます。それがローマの若き英雄となるスキピオなんですが、最初はローマの将軍の子息の一人に過ぎないスキピオに一軍を任されるはずはなく、ハンニバルの凄さは身をもって知ることになります。

と、いうようなお話です。

アド・アストラとはどう意味?

Wikipediaによると

ラテン語のper aspera ad astra(困難を克服して栄光を獲得する)という、ローマの哲学者・セネカの言葉から採られている。

だそうで、このセネカという哲学者は紀元前1世紀の皇帝ネロなどの時代に活躍した政治家のようですね。

歴史マンガとしては中々見ごたえがある

さて、ここからが感想なんですが、最初にこんなことをいうと見もふたもないのですが、あの大ヒットマンガ「キングダム」も史実をベースにしているマンガであり、内容は少し近いのですが、あそこまで面白くはありません(笑)。

オイオイ大丈夫かいと思われそうですが、そんなもんなんです。何と言うか、つまらないかというと全然そんなことないし、メチャメチャ面白くて大ヒットするようなマンガというと、いやそこまで行かないだろという感じのマンガという表現がピッタリでしょうか。

なんというか読み終わった感想は横山光輝先生の「三国志」や「史記」を読み終わった感じと似ています。

絵柄は全然キレイで上手い部類に入るんですが、キングダムや蒼天航路ほどのフィクション感を出している風でもなく、かといって横山マンガほど叙事的に話が進んでいる感じでもなくて、かつて世界史でならった共和政ローマ時代の有名なポエニ戦争を掘り下げて知れるという感じのマンガなんですよね。

これは僕が世界史を選択していたせいもあり、ハンニバルのことは特に覚えていたせいもあるんですが、最初は、ああ、あのハンニバルのことが書いてあるマンガなのか、という感じで読み進めていくと、思いのほかハマってしまいました。

あくまで主人公はローマ側のスキピオの視点で描かれることが多いんですが、悪魔的に強いハンニバルに愚かにも挑んでしまうローマ側の将軍たちの無様な姿や、その失敗による内部対立が描かれます。

もちろん史実が原作なので、物語は比較的理路整然と進み、マンガ的な展開はあるはずもないんですが、このマンガのいいところはずばりそこなんですよね。展開にムリがないというか、歴史的な事実を描いているので読んでいて話の流れに説得力があります。

だからこれは最近のマンガのアンチテーゼにはなるかもしれませんが、読み進めていく上での違和感がないというのがいいところなんですよね。

言うなれば不純物や刺激物が入っていないというか、スイスイ読んでいけます。

冒頭でマンガアプリで読んだとは書きましたが、このマンガのせいで無料コイン分をすべてこのマンガに使ってしまったぐらいで、この「ジャンプ+」というアプリの中では、旧作品以外では稚拙なマンガばかりだなっと感じたのが、一気にひっくり返ったぐらいです。

もちろん他のアプリ上の掲載マンガのレベルが少し低すぎるという点もあるとは思いますが、高校時代に世界史を選択していた人なんかは、あのハンニバルが敵ながら嫌味なく活躍してくれるのはちょっと気になるはずです。

またタイプ的には史実型作品ということで「王家の紋章」なんかとも少し近い感じもあるので、こういったタイプのマンガが好きな方には是非ともおススメしたいマンガとなります。

また、物語は基本シリアスには進みますが、たまにシリアスに笑いを取りにきてフフっと笑わせてくれる時もあるので、ムッツリな天邪鬼さんにもピッタリかもしれませんね。