
視聴率急落で打ち切りの危機
現在フジテレビの月9ドラマとして放送されている「海月姫(くらげひめ)」ですが、現在第4話まで放送が行われているものの、視聴率が3話時点ですでに5%台を記録しており、すでに爆死レベルということで話題となっています。
実情を調べてみると、本来今クールのこの枠には別のドラマの準備(以前に放送されていた「フラジャイル」の続編という噂も)がされていたものの、主演予定だった武井咲の妊娠により急遽このドラマが穴埋めに用意されたという噂もありますが、すでに映画化もされたこともあり、テンプレートがしっかりあった作品なのに何がいけなかったのでしょうか。
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ドラマ「海月姫」とは
原作は東村アキコ先生が原作の同名マンガが元ネタになり、マンガのほうはすでに2017年10月に連載が終了しています。(全11巻:すでに僕は全巻読了済みです)
2014年には能年玲奈(現のん)主演で映画化がされており、菅田将暉や池脇千鶴、篠原ともえなどの個性派を用意したキャスティングで興行収入は約4億円だったそうです。
今回はそのドラマ版ということになります。
キャスティング
倉下月海 – 芳根京子
鯉淵蔵之介 – 瀬戸康史
鯉淵修 – 工藤阿須加
ジジ – 木南晴夏
ばんば – 松井玲奈
まやや – 内田理央
千恵子 – 富山えりこ
鯉渕慶一郎 – 北大路欣也 他
あらすじ
主人公の月海(つきみ)はクラゲを愛するオタクで、イラストレーターを目指して田舎から上京し、男子禁制の「天水館(あまみずかん)」で生活を行いますが、そこに住むのは全員一癖も二癖もあるオタクの腐女子たち。揃いも揃ってろくに働かず、頼みは親からの仕送りがメインというダメダメぷりです。
ある日、月見はペットショップでクラゲを発見するのですが、そこには本来同居させてはいけないクラゲ同士が同じ水槽に入れられており、それを店員に注意しようにもコミュ障の彼女にはハードルが高すぎて、ヤキモキしているところに、自分たちとは真逆のタイプであるイケてる女性が現れます。
それが今後の彼女たちの生活を変えていく女装の”美男子”蔵之介(くらのすけ)だったわけです。
というお話しの入りです。
映画の劣化版でしかない
さてここからが感想なんですが、なんというか見どころがまったくないですね。
本来僕は原作も読んでいたし、映画版のほうも早い段階で見て(と言ってもレンタルでですが)チェックはしており、個人的には少なからず期待していた作品なんですが、全編ダダ滑りというか、心情を現すと
・・・
という感じなんですよね。
決してつまらないという表現では表せないとは思うんですが、面白さが見当たらないんですよね。
元々マンガ版はテンポよくしっかりしていたために、クセが強めの東村アキコ作品の中でも男性でも読めるタイプのマンガではあったんですが、映画版はなんとかそのクオリティをギリギリキープできている感じでした。
それが今回ドラマという尺でどう色付けされるかと思ってはいたんですが、結果的には色が付けられずに逆に減っていたという印象を受けました。
キーマン蔵之介の出来がすべて
今回は数字に出ているのであえて失敗という言い方をさせてもらいますが、視聴者が一気に減った理由としてはヒロイン月海を導くべき蔵之介のクオリティが不十分だったのではないかと思います。
全くこのドラマを予備知識なしで見た方も違和感を覚えたと思いますが、美女に変身している美男子という設定はかなりの肝であり、原作ファンや映画を見た人が、まず最初に蔵之介がどういう完成度で出てくるかは最初で最高の見せ所だったはずです。
それが男子丸出し、声も男丸出しで、アレを見て男に見えない登場人物たちにケチがついたことは間違いないでしょう。
映画版では今をときめく菅田将暉君が演じていましたが、映画版ではそれほど違和感を覚えなかった印象があります。こればっかりは演じる役者さんの役作りや実力というよりも、キャスティングや演出、これで行けると思ったスタッフの感覚を疑ってしまいます。
おそらく蔵之介の登場シーンで、”あ、ダメなドラマだこれ”と悟った視聴者の方も多いでしょう。
痛々しいオタク”尼~ず”を演じる演技と演出のイタイタしさ
次にこのドラマでしらけさせられる点は物語でもキーとなる天水館の住人達”尼~ず”の面々でしょう。演者は松井玲奈や内田理央と言った僕でも名前を聞いたことある人達が演じていますが、正直彼女たちの演技がイタイタしく感じます。
彼女たちも実際の自分たちの本来のキャラクターを脱ぎ捨てて、結構振り切った演技をしているのですが、どうにもこうにも映画で別の役者さんがやっていた演じ方と同じなんですよね。
ドラマ版の女優さんたちは当然これらを参考にして役作りをしたはずなんですが、ドラマを見ていてコミカルに演じている彼女たちを見てもちっとも笑えないんですよね。何と言うか映画版をトレースしているだけで、女優としての色みたいなものを感じません。
また、こういったコミカルな演技も、違った空想場面の挿入や、視覚的エフェクトをかけてやるだけで大分雰囲気が変わると思うのですが、これらの視覚的演出がありません。
これがTBSあたりがやると、コミカルな演出やせりふ回しでクスリと笑わせてくれるだろうなとは思いましたが、従来のフジテレビのドラマと同様の平べったい進め方で、見ている側としてはやたらテンションの高い劇団の寸劇を見せられているような印象を受けました。
ここも演者というよりも演出側の責任にあるように感じます。
これで視聴率が取れるわけがない
最後に凋落が叫ばれるフジテレビですが、今回は準備期間がすくなったというエクスキューズがあるとは言え、ドラマとしてはかなり雑に感じます。本来すでに映画があるので、ちょっとしたエッセンスを加えてやるだけで面白くすることは簡単だったはずなんですが、何でもかんでも駄作にしてしまう制作陣には飽きれてしまいます。
最近で言えば大河ドラマも同じような傾向にあり、どこを目指しているのか分からず、視聴率を取る気がないだろうという作品が多く見られます。はたしてどうしてこんな風になってしまったのか謎ではありますが、こういったドラマを作る人達は原作を全く読んでおらず愛情が感じられないのが原因ではないかと推測されます。
他社の真似をしろとは言いませんが、TBSやテレビ朝日のように、少しでも面白いものを作ろうと思えば簡単に視聴率はついてくるはずです。今回はフジテレビですが、もっとよそのドラマをしっかりと見て勉強するか、自分たちで面白い原作を読んで探す(おそらく一から面白いドラマをつくることはもう無理でしょう)かして、面白い作品を作ってもらいたいものですね。