映画のレビュー
映画と言っても正確には映画のDVDを見た感想なのですが、今回は昨年(2017年7月)に公開されて話題となり日本映画界でも各賞を総なめにした「シン・ゴジラ」の感想です。
10年前は話題となる作品や試写会には足しげく通っており、実はで初め作ったホームページも映画のレビューサイトだった(今でも検索すると出てきます)わけですが、今はわざわざレイトショーのために夜に出かける気力もない(ジジイか(笑))ですし、DVDのレンタルですぐに見ることができるので、ホント映画館に行かなくなりました。
同じようなスタイルの方も最近多いでしょうが、ライフスタイルの変化なのか、映画の質が下がっているのか、作り手の方も大変だろうなと思う今日この頃です。
僕は洋画字幕派です
まず「シン・ゴジラ」の感想に入る前に僕の映画の嗜好だけ説明しておきますと、ライト映画好きにありがちなアンチ邦画派です(笑)。
まぁ、邦画の中にも「キサラギ」や「サマータイムマシン・ブルース」、「桐島部活やめるってよ」は面白かったなとすぐに名前が浮かぶんですが、この記事のために”邦画 名作”と検索しておさらいしても、あらためて取り上げるようなタイトルがなかったですね。
だから邦画好きな人とは多少違う意見にはなるかもしれませんので予めご了承ください。
洋画に関してどんな作品が好きかざっと上げてみると
- 「インファナル・アフェア」
- 「V フォー ヴェンデッタ」
- 「バタフライ・エフェクト」
- 「善き人のためのソナタ」
- 「猟奇的な彼女」
このあたりは僕の定番作品なんですが、コアな映画好きには性癖がバレましたか?(笑)。
ちなみに役者さんの間を楽しみたいので字幕で全部視聴します。
(画像引用:映画「シン・ゴジラ」公式サイトより)
邦画の怪獣・SFジャンルとしては大成功
前置きが若干長くなりましたが、感想としては面白かったと思います。
119分という怪獣映画としては若干長めであり、日本の伝統映画”ゴジラ”の最新作ということで最初から見るコチラのハードルも高かったのですが、中だるみを感じることなくあっという間にラストまで見ることができました。
さすが各所で絶賛の声が相次ぎ、日本のアカデミー賞を総なめにしたのは納得の内容でしたね。
色々な原因はあるでしょうが、さすが”ヱヴァンゲリヲン”の庵野秀明監督といったところでしょうか、セリフの早回しやテンポのよい展開などで、登場人物への下手な感情移入や、こういったジャンルの映画にありがちな登場人物達の理解不能のアフォ行動による、ツッコミを入れさせる暇を与えさせなかったことが面白さの(飽きさせない)原因だったような気がします。
内閣の中枢の会議をいきなり数十秒で”中略”とやってしまったところはさすが庵野監督!と笑えましたし、総理大臣達官僚は最後まで引っ張るのかな?と思ってたら、途中でチュドーン(笑)って行くのは、邦画の定番の流れをいい意味で裏切ってくれてよかったですね。
また最初の登場シーンですが、”あれゴジラは?”と思った人は僕だけじゃなかったと思いますが、このあたりも監督の仕掛けだったのでしょうか、ゴジラの暴れっぷりの半端ないグレードアップぶりといい、次々に予測が裏切られる展開でした。
ゴジラ映画の系譜をちゃんと受け継いでいる
あと忘れてならないのが”ゴジラ”映画だったということですが、「シン・ゴジラ」と名打たれてたわけですが、真ゴジラとか新ゴジラというダブルミーニングとのふれこみ通りちゃんとしたゴジラ映画だったと思います。
ゴジラと言えば元々人間の傲慢さに対するアンチテーゼみたいな存在だったはずですが、その基本線を守った上で、人間との戦いを描きながら、日本の安全保障における有事の際の問題点や、政治システムへの皮肉も効かせていたのは、これまでのシリーズになかった点であり、大人こそが楽しめる内容だったと思いますね。
そういった点では子供や外国人には少し理解しにくい内容だったかもしれません。
石原さとみのキャスティングはわざと?
この映画では様々な有名俳優が所々にサラっと出てたりしてましたが、みなさんクローズアップされることなく個性を意図的に消されていました。
あくまで物語的主役はゴジラであり、(一番出てくる)主人公の長谷川博己がギリギリそこに絡むような展開ではありましたが、この中で異彩を放っていたのはアメリカの特使として登場してきた日系3世”カヨコ・アン・パタースン”役の石原さとみでしょうか。
淡々と話が進む中、いかにもアメリカネイティブぽい日本語英語(多分)を織り交ぜて主人公に絡みますが、個人的には話の流れ的には真面目なシーンであるものの、裏側では日本の女優さんがそれっぽく英語を話せているように演じている本人が無自覚のコントをやっているような印象でしたね。
このあたりはもしかしたら日本の他の映画に対する皮肉なのか?と感じましたが、日本の有名女優さんを使っているだけに監督の真意は不明ですね。
ただ、全体の中ではこの石原さとみだけが異物で意図のようなものを感じました。
最後の尻尾のシーン
この部分は色々なところですでに議論はされていますが、アップにしているだけにもう少し見ている側にヒントを与えるような造形にしてもらいたかったところでしょうね。
意味深ではあるものの、画面を止めて見ても何かよく分からないようになっていました。
人間の骨で構成されている説からは死んだ人間の魂の集合体だとか、正体は博士だ!とかありますが、続編がもしないのであればスッキリさせてほしかったですね。
まとめ
最後に全体的な感想としては面白くゴジラ映画史上でも最高傑作ではあると思うのですが、一般的な映画として、人に薦めるほどの名作と言われれると?という感じはします。
怪獣映画なのでこればっかりはしょうがないとは思いますが、昨今のアニメやSF作品の実写化の大コケぶりと比べると、この作品は庵野秀明監督の優れた才能と料理人ぶりを楽しむための作品かもしれません。
まだ未見の方も多いとは思いますが、一般的な映画というよりも”ゴジラ映画”、”ヱヴァンゲリヲンの監督の映画”というスタンスで挑むとストレスなく楽しめるはずです。
内容はあくまで最近の邦画に対するアンチテーゼが上手く予想外として効いていた作品なので、続編はやらないほうがいいと思いますが、やるとしてもアプローチは変えたほうがいいでしょうね。
以上ネタバレは極力しないように書きましたが、あくまで個人的な感想です。