“泉佐野市を助けてください。”という気になるバナー広告が登場
上記の画像は昨日このサイトの記事をリライトして確認していた時に見つけていたGoogleの広告バナーなのですが、自治体が”助けてください”というのは中々メッセージとしては強力でインパクトのある広告ですよね。
Google Adsenseの規約では自分で広告のクリックは禁止されているので、残念ながらその先をクリックすることはできなかったんのですが、思わずクリックしたくなるキャッチコピーなので、広告としてはよく出来ているのでしょう。
ただ・・・
この泉佐野市(大阪府)ですが、ある程度年齢が行っている方や世間の常識に疎くない方であればご存知のように、あの”ふるさと納税”でやらかした自治体です。
詳しくない方のためにこの”ふるさと納税問題”については後で少し説明するとして、今回の泉佐野市の事情を知っている方であれば、この広告を見ると
そんなに財政状況が悪いのか?
と心配してしまう方もいれば
自業自得なのに何を言っているの?
という方もいらっしゃるでしょう。また僕のように両方思った方もいらっしゃるのではないのでしょうか。
しかしながら今回の広告なんですが、興味を持って色々調べてみると、キャッチコピーの切実さとは裏腹にバナーの先はどうも、えげつないというか図々しい内容なんですよね。
そこで今回はこの泉佐野市の”ふるさと納税問題”について少し取り上げてみたいと思います。
泉佐野市の”ふるさと納税問題”とは
まず今回の問題は発端として”ふるさと納税”があるんですが、ほとんどの方がご存知のように”ふるさと納税”とは自分の住んでいる自治体とは別に納税(実際は寄付)ができるものであり、かつて自分が住んでいたふるさとなどに貢献ができるといった制度です。
納税者にとってはこの納税が所得の控除対象になり、また自治体にとっては収入が増えるので文字通りwin-winの制度でした。
しかし制度開始当初の純粋な思いとは裏腹に、時間が経ってくると徐々に納税に対しての返礼品の内容を豪華にして、ふるさと納税集めに走る自治体が出始めました。
最近ではテレビや雑誌などでも特集が組まれるほどであり、実際に返礼品目的で縁もゆかりもない自治体に納税した方もいらっしゃるでしょう。
今回この返礼品目的の納税が正しい行為かどうかは議論する気はないのですが、泉佐野市などが問題となったのはその返礼品の内容です。
徐々に返礼品の内容が豪華になり人気投票のような形になっていたのは問題視されてはいたのですが、それでもほとんどの自治体は地元の名産や企業の商品を使うということで、間接的には地元に還元されるという大義名分がありました。
しかしながら泉佐野市は、この制度の本来の目的である地元出身者の故郷への貢献やその寄付に対する御礼という形を少しづつ逸脱していきます。
ふるさと納税の特設サイトを開設し豪華な返礼品が並び始めますが、場合によってはコーラなどの飲料なども用意され、地元と少しでも関係しているようであれば、特産品としては謎とも思える商品までし始めます。
その数はついには千を超えショッピングサイトのようになっていき、ついに2017年にはふるさと納税額では全国ぶっちぎり1位で135億円を集めます。翌年には500億円近くを集めたとも言われています。
まるでギフトショッピングサイトを運営しているような形になった泉佐野市でしたが、国から目をつけられるきっかけになったのがAmazonや旅行会社などのギフトカードです。
僕はリアルタイムで泉佐野市のふるさと納税に触れていたわけではないので、あくまでテレビやネットから得られた知識にはなるのですが、納税額の○○%を別にAmazonのギフトカードやポイントで還元するというキャンペーンまで行っていたようです。
100億円どころか500億円近くを税収とは別に集めたとなると少々お金を使って還元したところで痛くも痒くもないのでしょうが、忘れてはいけないのはこれを自治体がやっていた点です。
当然これを認めてしまうと過剰競争になってしまう可能性もありますし、運営が突如破綻する可能性もあるわけですから、本来の制度の目的を逸脱して錬金術のようなことを自治体にされても当然認めるわけにはいかないでしょう。
おそらくこの制度を統括する総務省から再三の注意は受けていたはずですが、その注意勧告を受け入れなかったため、2019年6月1日から泉佐野市はこのふるさと納税制度から除外されることが決定しました。
他にも同様にギフトカードなどで返礼や集客活動を行っていた小山町(静岡県)、高野町(和歌山県)、みやき町(佐賀県)などが同じく制度から除外されると発表されています。(東京都は新制度に反対して参加しなかった)
これがGWが終わったぐらいのお話だったのですが、どうも序章に過ぎなかったようなんです・・・。
そして完全に開き直る(笑)
総務省が激怒したことによりすでに四市町の除外は決定事項のようですが、どうもすべての自治体が反抗的な態度ではなかったようです。
みやき町や高野町などは新制度決定時点で返礼品などの内容の見直しを行って、町長などが実際に総務省に対し陳謝しています。
それに対してGWから仕掛けてきたのが泉佐野市なんですが、そのキャンペーンがどうも今回のバナーのようだったんですよね。
そしてその内容が下になります。
泉佐野史上、最大で最後の大キャンペーン!と名打ってますが、詳細は
キャンペーン特典内容
A「地場産品問題」体感コース・・・・・・・・・・
返礼品(返礼率30%)+Amazonギフト券30%~もしも、泉佐野市のふるさと納税が「地場産品」だけになったら~
返礼品の配送指定月を8月から2020年3月の期間内で指定ができます
・返礼品の返礼率は6月以降の新制度の規定である「寄附額の30%」に設定
・【本市独自サイト「さのちょく」からのお申込みにより節約された、本来ポータルサイトに支払う手数料の経費となる10%
+これまでの感謝の意味を込めて20%】のAmazonギフト券をプレゼントB「経費50%問題」体感コース・・・・・・・・・
返礼品(返礼率20%)+Amazonギフト券40%~もしも、経費50%問題のしわ寄せで、返礼品の調達率が20%になったら~
返礼品の配送指定月を8月から12月の期間内で指定ができます
・返礼品の返礼率は新制度で設けられたルール「経費50%」の影響を体感できる「寄付額の20%」に設定
・【本市独自サイト「さのちょく」からのお申込みにより節約された、本来ポータルサイトに支払う手数料の経費となる10%
+これまでの感謝の意味を込めて30%】のAmazonギフト券をプレゼントC「ポータルサイト手数料問題」体感コース・・・・・
返礼品(返礼率50%)+Amazonギフト券20%~ポータルサイトの手数料がない場合~
返礼品の配送指定月を2020年1月から2020年3月の期間内で指定ができます
・返礼品の返礼率は泉佐野市スタイルの「寄附額の50%」に設定
・【本市独自サイト「さのちょく」からのお申込みにより節約された、本来ポータルサイトに支払う手数料の経費となる10%
+これまでの感謝の意味を込めて10%】のAmazonギフト券をプレゼント※Amazonギフト券は、7月以降、申込時のメールアドレスに順次発送します
(泉佐野市ふるさと納税特設サイト「さのちょく」より一部抜粋:http://furusato-izumisano.jp/campaign/index.php)
文字だと内容は伝わりにくいのですが、分かりやすく言うと寄付に対して最大七割程度の還元があるということになります。
今回ふるさと納税の過剰競争に対して新しく決められた制度が返礼品の三割程度というのがライン(詳しくは他に色々基準はあるようです)なんですが、完全に無視しています(笑)。
まぁ、この制度の施行そのものが2019年の6月1日からなので、法律的にはセーフにはなるわけですが、このキャンペーンはつまるところ
どうせ除外されるんだったらみなさんドーンと還元しますんで最後に泉佐野市に寄付をお願いしーます!
という内容になるんですよね。
泉佐野市は、ふるさと納税でがっぽり懐が潤うまでは財政破綻寸前だったそうで、その部分にかんして一部同情はできるんですが、はたしてこのパトカーが追いかけている前を暴走族が蛇行しながら覆っているような状況に対して、総務省がこのまま黙っておくとは考えられず、個人的には
早くごめんなさい
したほうがいいと思いますね。
個人的には市の主張は屁理屈に聞こえますし、長い目で見ると市民の不利益になると思います。