「ザ・ファブル」:このマンガが面白い(2)

ザ・ファブル

昨日の記事では散々週刊ヤングマガジンをこき下ろしてしまいましたが、本日はうって変わってのアゲアゲ記事です(笑)。本文中でも唯一確実に読んでいると書いていましたが、そのマンガこそが今回取り上げる「ザ・ファブル」です。個人的には現在のヤンマガで連載されている作品の中では一番面白いんじゃないかと思います。(画像引用:週刊ヤングマガジン公式サイト(上記画像)、講談社コミックプラス(サムネイル画像)より)

ザ・ファブルとは

この「ザ・ファブル」という作品は2014年末から同じ週刊ヤングマガジンで「ナニワトモアレ」を連載していた南勝久さんのマンガなんですが、前作ではヤンキー&走り屋系をミックスさせた作品だったんですが、今回はまったくジャンルの違う殺し屋が主人公の作品です。

あらすじ

未読の方向けにネタバレしない程度にご説明しますと、主人公の佐藤明(さとう・あきら:偽名)はヤクザなど裏の業界では知る人ぞ知る「ファブル(寓話)」という殺し屋なのですが、ある時からボスの指令により1年間ほど一般社会に潜って身を隠せという指令を受けます。

そこでボスと懇意にしている真黒組の協力を受けて、仕事のパートナーである洋子(潜伏する上では妹という設定にしてある)とともに指令通り一般社会に溶け込んでいくわけですが、その佐藤の醸し出す独特の雰囲気からそうは簡単にいくはずもなく・・・というお話です。

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登場人物の行動に違和感がない

この「ザ・ファブル」という作品なんですが、前作の「ナニワトモアレ」では大阪の比較的何も取り柄のないヤンキー?が主人公のどちらかといえば作者が経験してきたようなことを描いたリアル路線でしたが、今回は主人公が全く逆のスーパーマン(のような殺しの技術をもっている)であり、完全にフィクションを描いています。

この二点については作品のテンポもよくハードボイルドでありながら、適度な笑いあり、バイオレンスあり、そしてエロとこの点は同じだと思いますが、今回の作品の主人公は凄腕でありながら天然(実は育ちの関係上世間知らずなだけ)というギャップがいい意味で効いています。

本人の知らないところでその正体を何となく感じとった匿ってくれているヤクザの組員が勝手にリスペクトしたり、敵役として登場する殺し屋も”もしかしてあのファブル?”ということで、闘志をもやしたりと、周辺のキャラクターがいい意味で自由で動いているというのが最大の魅力だと思います。

「ナニワトモアレ」ではどちらかと言えば群像劇に近かったので、登場人物の行動理由というのが読み手に取って説得力を持たせにくかったのが若干弱点だったとはおもうのですが、この点について設定がうまく効いているのだと思います。

マンガに限らず小説やドラマでも同じことだと思うのですが、見ている読者がいかに登場人物の行動に違和感を持たせないというのが一番のポイントだと思います。最近のドラマやマンガでつまらないと感じることが多いのは、この登場人物たちの行動に対する説得力のなさが原因でしょう。サスペンスにしてもいかにもワザとらしい小物の使い方や煽り、知能バトルなはずなのに主人公が小さいところを見落としまくったり、無能な警察。ホントにここは何とかしてもらいたいと思います。

もう一人の主人公 妹設定の洋子

話が若干ズレてきましたがこの「ザ・ファブル」のもう一つ面白いところは主人公の天然・スーパーマンぶりの他にもう一つがあって、それが妹設定の洋子の存在。たまにお笑いパートとして彼女が主人公?の回が登場するのですが、これがまた非常に面白い。

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、殺し屋マンガとは思えない某所での駆け引きとバトルはバカバカしくもありますが、暗くなりがちなテーマの陰と陽という感じで抜群のエッセンスになります。先週はその洋子がまた別の面を見せて驚きの展開だったのですが、このあたりは「ナニモトモワレ」で培われた作者のセンスと言えるでしょう。

以上、あまりに詳しく書きすぎるとせっかく読んでいない方が読んだときに面白さが半減してしまうのでこのあたりにしておきますが、当初週刊ヤングマガジンの中では当初このマンガは、個人的にはメチャメチャ面白い!とまでは感じてはなかったのですが、物語のテンポ、読みやすさ、駆け引きがありながら、水戸黄門的に最後は主人公が何とかするというのも、ある種のお約束のような感じであり、知らず知らずのうちにドップリはまってしまうというタイプのマンガでしょうか。

決して万人受けするというマンガではないとは思うのですが、これぞ週刊ヤングマガジンというのを体現しておりその系譜につながるマンガだと思いますので、興味のある方は一度読んでみることをオススメします。

できれば妹の洋子が活躍する回まで読んでみてください。笑います。