「ましろのおと」:このマンガが面白い(9)

ましろのおと

今回僕が面白いマンガとして紹介させていただく作品は月刊少年マガジンに連載されている羅川真里茂先生の「ましろのおと」という作品です。

面白いマンガの基準については人それぞれだと思いますが、それを具体的に説明することは非常に難しくもあり、ナンセンスなことだと思います。

僕の中でも明確な基準はもちろんないし、それを言葉で説明する術(すべ)を持ち合わせているわけではありませんが、あえて該当する作品の共通点を挙げるとすれば、読んでいる最中に高揚感を与えてくれることと、読み終わった後の余韻、これが共通点としてあるような気がします。

今回月刊少年マガジンを読んでいて久々にこの感覚に近いものを感じたということで「ましろのおと」を取り上げます。(画像引用:月刊少年マガジン「ましろのおと」より)

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 「ましろのおと」とは

あの大ヒット少女マンガ「赤ちゃんと僕」の作者!

まずこの「ましろのおと」という作品は2010年5月より講談社の月刊少年マガジンで連載されている羅川真里茂(らがわ まりも)先生の作品で現在も連載中です。

何と言っても作者が女性ということで目を引きますが、月刊少年マガジンでは「ノラガミ」という作品もあだちとか先生も女性二人組のユニットということで、最近は少年誌だから必ずしも男性が書いているということも言い切れなくなりましたね。

ただ注目すべきは、作者があの「赤ちゃんの僕」の作者羅川真里茂さんということです。

赤ちゃんと僕」と言えば、白泉社の花とゆめ(通称はなゆめ)で連載されていた90年代のヒット作品で、僕も大昔ではありますが全巻読んでいるなど、かなりヒットした作品です。

少女マンガ雑誌の中でも白泉社の作品はいわゆる”少女マンガ少女マンガ”していない作品が実はあったりして、男からすると名作が実は隠れていたりするのですが、この「赤ちゃんと僕」も中々の良作でした。

その羅川真里茂先生の最近の作品で、僕も連載当初からずーーと月刊少年マガジンで欠かさず読んでいましたが

「赤ちゃんと僕」の作者と同一人物であることをさっき知りました(笑)

いや、まじウッカリというレベルではないのですが、少し「赤ちゃんと僕」の連載終了から時間が経っていたのもあるし、まさか月刊少年マガジンでやっているとは結び付きませんでした。

この記事を書くためにおさらいをしていて、この事実にぶち当たってしまったわけですが、自分にもビックリしました。

そう言えば、絵が一緒だ(汗

あらすじ

ちょうどYouTubeに公式動画あったので、こちらを見ていただくと大体の流れはつかめますが、簡単に紹介させていただくと

かつて青森で知る人ぞ知る盲目の三味線奏者であった祖父をもつ主人公沢村雪(さわむら せつ)は祖父の死をきっかけに上京をします。

元々祖父の音を聞きながら育ったため優れた才能がありながらら、本人はそれを自覚しておらず、また祖父と同じく自分のために弾いてきた彼にはその音を安定して表現する方法を持っていませんでした。

そんな彼が虚栄心の塊の強烈キャラクター母梅子(うめこ)の陰謀(みちびき?)によりとある学園に入学させられて自分の音を見つけていく。

といった感じのストーリーです。

思い出しながら書いたのでもしかしたら嘘を書いているかもしれませんが、多分こんな感じだったと思います(笑)。

少女マンガ家お得意の緩急のウマさが光る

さてここからが感想ですが、まずはさすが少女マンガで大ヒットを飛ばした人だなと思いますが、メインストーリーの進行とギャグパートの絡め方が抜群にウマいと思います。

このあたりはいずれ取り上げようと思うヤングアニマル「3月のライオン」の作者である羽海野チカ先生と同じように、男性のマンガ家の作品にはなかなか出せない、独特の感性と間だと思いますね。

「ましろのおと」の場合「3月のライオン」ほど突然デフォルメ調になるわけではありませんが、急に登場キャラクターの振れ幅を大きくなるなどして、何とも言えない笑いを入れてきます。

特に主人公の母親の梅子というキャラクターがかなり独特でキワモノなんですが、この人物を暴れさせたり、ちょっとした恋模様をはさみながら、うっかりヒロインの○○を○○するなど笑わせてくれます。

このちょっとしたブレイクがストーリーのメインである三味線の演奏シーンのギャップとなっており、いい影響を与えていますね。

このあたりは以前にも紹介した「BLUE GIANT」のストーリー展開とは大きく違うところですね。(ただ、この作品の場合は時折セリフのほぼない回を挟むなどして別の緩急をつけています)

しっかりと少年マンガとして書かれている

またこの作品の懸念事項として女性の作者ということで、少し少女マンガぽくなることが心配されますが、そういった要素はゼロです。

もしかしたら意識的にそうしている可能性はありますが、主人公がひそかに思いを寄せる女性もいたりはしますが、恋愛パートはそれほど多くなく、あくまでストーリーのきっかけ程度にしか使われていないので、ストーリーの本筋がブレてくるとことがないのがいいですね。

主人公にひそかに思いをよせる大家の娘なんかも出てきますが、このあたりもしっかり笑いに変換できているので、ストーリーに変な不純物が入っておらず、男性読者でもすんなりと読めます。

何てったってさっきまで僕が「赤ちゃんと僕」の存在を忘れていたぐらいです。

月刊少年マガジンお得意の音楽マンガ

最後にこのマンガの題材は三味線なわけですが、ストーリーとしてはよくありがちな音楽ものです。

かつてこのマンガが連載されている月刊少年マガジンでは「BECK」という僕も大好きだった大ヒット音楽マンガが連載されていましたが、基本的にはこのテンプレートに乗っかっている印象を受けます。

月刊マガジンとしては前例があるだけにこういった題材の漫画をヒットさせることはもはやお手のものだと思いますが、題材をロックンロールから三味線という和楽器に変えたことや、女性漫画家を起用していることで、このあたりの既視感が薄まっているのも面白さの原因ではないでしょうか。

ありがちなと言えばありがちなストーリーではありますが、読んでいて時折ゾクっとさせられるので、うっかりハマってしまう人も出てきそうなマンガだと思います。

「赤ちゃんと僕」のテイストもしっかり受け継がれていますので、かつてのファンの人にもおすすめできるマンガです。