マンガ「孤高の人」完読 内容はともかく登山家の最後がヤバすぎる件(感想もアリ)

マッターホルン

今回は「孤高の人」というかつて週刊ヤングジャンプで連載されていたマンガを読んだというお話なんですが、実は5,6年前に連載はすでに終了していて作品の存在は把握していたものの、腰を入れて最後まで読んだことがありませんでした。

きっかけはたまたまウチの奥さんがGEOで1冊50円で売ってたので借りるのと変わらいということで同作者の「イノサン」つながりで買ってきたので読む機会ができたわけですが、今回はこのマンガの感想とともに、このマンガで深く描かれている登山家の危険さについて書いていきたいと思います。(写真はK2とかではなく無料素材にあったマッターホルンです)

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マンガ「孤高の人」とは

2007年から2011年まで集英社の週刊ヤングジャンプで連載されていた坂本眞一(さかもと しんいち:1972年生まれ)作画の作品で、連載当初は原作を鍋田吉郎が担当していたが、途中から高野洋に変わり、最終的には坂本先生本人がストーリーも担当していた珍しいマンガ(全17巻)です。

なお、小説新田次郎原作の「孤高の人」はこのマンガと内容や舞台は若干違います(主人公の名前など共通点はあり)が、この小説が原案としてコミックスなどにはクレジットされています。

あらすじ

過去の事故により友人を失い、心を閉ざした主人公森文太郎がある日転校してくることから物語が始まりますが、同じクラスでロッククライミング部の同級生”陽キャラ”宮本が彼にちょっかいを出したことにより、まったく未経験であったロッククライミングや登山の世界に自分の居場所を見つけ始めます。

そこから少しづつ登山に目覚め始めて、最終的に世界最難関の山であるK2、しかも前人未到の東壁へ挑むというお話です。

感想(多少ネタバレあり)

まず率直な感想ですが、絵はさすがにキレイでうまいのですが、全体的なストーリーがブレブレなため、正直なところ総合的に見ると微妙な作品だと思います。

各所でも色々と指摘されていることですが、登場人物たちの切る捨て方や方針転換が強引過ぎます、というかメジャー作品でここまで雑なのは見たことないぐらいです。

序盤は高校生のスポコンものか?と思わせておいて、次は国内の登山の選抜チーム入り、そしてかつての高校時代の仲間との再会に話が進み、最後はK2登頂となるわけですが、少しだけネタバレして書くと、高校時代の仲間だった宮本が通常の王道展開なら物語の中盤から終盤に出てきて貴重な助けになるところですが、まさかのゴミキャラに。(ついでにヒロインぽい子も闇落ちw)

次にメインの話となる14マウンテン山岳会という選抜チームが有志により結成され選ばれますが、このチームも顔合わせ?のはずの山岳でいきなり頓挫し物語終盤ではほぼなかったことに(あの主催者と親戚の女の子どこ行った?(笑))。

そして物語の終盤のK2編では読者が物語序盤からずーと心の中でアイツ中々出てこなくて、無かったことにされていたと完全に思っていた序盤の謎キャラ原渓人(はらけいと)がまさかの姿で再登場するわけですが、兎にも角にも主人公以外の登場人物たちの扱いがとにかく雑過ぎます。

分かりやすく言うと「ハンター×ハンター」のキメラアント編で少しだけ出てきた悪意の塊のような人間がいましたけど、最終的にあまり触れられませんでしたよね。こんな展開が最初から最後まで行われるというような感じでしょうか。

原作が二転三転したとは言え、悪い意味で読者を裏切り続けていましたね。登場人物がバッタバッタと退場していくのは構わないのですが、過去の話や登場人物達がまったく無意味になっていたので違和感のあった読者のほうが多かったでしょう。

もちろん高校生編や14マウンテン編、K2編個別で見れば、絵も上手く中々読み応えのある話で僕も面白いとは思いますが、全編をとおすと行き当たりばったり感はやっぱり拭えません。

言うなればこの前まで放送されていたTBSドラマ「小さな巨人」のようだと説明するのが妥当でしょうか、ワンシーンごとは良くても大枠見るとどこに面白さを狙っているか謎の雑な話でしたね。

だから未読の人は、期待してはダメだけど、期待せずに見ると意外と面白いかもしれない、というタイプのマンガでしょうか。

ヤバすぎるK2登頂と登山家の最後

さてマンガの話はここまでにしておき、ここからは登山のお話です。

マンガ上ではバッタバッタと前触れなく登場人物がお亡くなりになりますが、コミックスの巻末に収録されている日本人登山家の紹介ページでも華々しく○○無酸素登頂とか堂々たる登山歴などのプロフォールが載っているものの、大体の最後の行は遭難や滑落で死亡。

もしかしたら亡くなっているので美化されてピックアップされている可能性もありますが、マンガを見ていたり有名登山家の末路を知ると”なぜそんな危ないことをするの?”という気がしてしまいますね。

ちなみに物語の最大目標としてあるK2登頂ですが調べるとヤバささしかありません。

K2とは

パキスタンと中国の国境にあるカラコルム山脈の山でエベレスト山に次ぐ世界第2位の高さ(8611m)を誇り、登頂の難しさではその形状や位置的な問題から世界一登るのが難しい山と言われており、冬季の登頂成功者は未だ誰もいないと言われています。(ちなみに成功しても60日近くかかるそうです)

また登頂成功者の数でもエベレストが5000人を越えているのに対し、K2の登頂成功者はWikipediaによる2012年3月現在なんと306人!そしてその挑戦で死亡した人間は81人ととんでもない確率で人が死んでいます。

もちろん失敗者はカウントされていないと思いますので、正確なデータは分からないと思いますが、4人登頂成功にしている陰で1人は死んでいる計算でトンデモナイ山だということが分かります。

そしてさらに死亡率の高いアンナプルナという山が存在する(死亡率40%オーバー)そうです(コエー)。

登頂成功しても無事に帰れるとは限らない

登山中の死亡事故の原因としてよくあるのがマンガでも描かれていたように雪崩や氷塊の落下、滑落など気象条件によるものや酸素濃度の低さによる判断能力の低下や体力低下による凍死などがありますが、登頂に成功したからと言って無事帰れるとは限らないそうです。

K2に登頂に成功した女性は5人いたそうですが、3人が下山中に死亡。他の2人も他の8000m級の山で遭難死するなど誰も生きていないなど洒落にならないエピソードが沢山転がっています。

また幸いにして存命中の登山家の話を聞いていても凍傷で手や足の指を何本か失ったという話はよく聞きますし、五体満足で下界に戻ってくるだけでも一苦労(どころじゃないですが)というのがよく分かりますね。

こんな登山の厳しさを知ってしまうと”そこに山があったから”とかというコメントは頭のネジがぶっ飛んでいるとしか言えませんね。

知り合いが登山部に入ったらエスカレートする前に止めたほうがいいと思います(笑)。